1-02-03から1日間の記事一覧
私のSFとのつき合いは昭和十四、五年、まだ小学校二、三年のころから始まる。もちろん、そのころ、SFなんてシャレた言葉はまだ無かった。どことなくやぼ臭い”科学小説”と呼んでいた時代である。世相的には太平洋戦争直前、戦争遂行のための科学振興政策…
「日本SF・幼年期の終り」に収録。
SFというものを知らずに、SFらしいものに、漠然と興味を抱いたのは、シュペングラーの「西欧の没落」を読んだときである。ぼくは没落の涯の回帰と再生を信じた。 戦前であった。太平洋戦争が末期的症状をあらわしはじめていた。ぼくは十八歳であった。ぼ…