C・M・コーンブルース「クリスマス・イヴ」(ハヤカワ・ファンタジィ ASIN:B000JAUBG4)

図書館本、読了。「ハヤカワ・SF・シリーズ」になる前の「ハヤカワ・ファンタジィ」の7冊目。
この本は、1958年7月の刊行で、同じ年の3月に、コーンブルースは自宅前の雪かき中に、「心臓発作」でなくなっている。


第三次世界大戦が起きて破れ、ソ連と中国に分割支配されたアメリカ。その農村での、元商業デザイナーの主人公の冒険を描く。
その「冒険」自体はあまり面白くないのだが・・。主人公の内面描写や、さまざまな登場人物の個性や、「ソ連占領下での暮らしぶり」が、実に丹念にリアルに書かれていて、普通小説のように読める。
コーンブルースは「未来のスリック雑誌に掲載されるような物語を書きたい」というのが持論だったようだが、まさにそんな感じ。


SF的アイディアは少なく、ほとんど「ポリティカル・フィクション」。だから、「SFに免疫がない読者でも読めるだろう」ということで、初期「ハヤカワ・ファンタジィ」の一冊に選ばれたんだろうねえ。