64歳「箱男」と安部公房「箱男」に通底するもの

http://blog.livedoor.jp/up_down_go_go/archives/643282.html

朝のテレビで、64歳の男が、妻と交際していた39歳の男性を木製の箱の中に連れ込み、2人で13時間も閉じ込もっていたというニュースをやっていました。およそこの種の監禁事件で箱の中に被害者と共に閉じこもるなどというのは初めて聞きます。
思い出したのが学生時代に読んだ安部公房の「箱男」という小説です。「箱男」は、箱の中に閉じこもることによって自分の存在を消し去り、<都市>というものを自分を離れた視点から見てその不条理さを訴えようとしました。
ところが、この事件では、幼児化した64歳の男が箱に閉じこもって自分の主張を通そうとしたもので、一見、別のベクトルに位置するように思えます。
しかし、共通するキーワードは「箱」であり、いずれも「箱」によって現代社会の病理が象徴されているような気がして、興味を覚えました。

それにしても問題は、64歳の男がこの箱を手作りし、自ら「箱ベッド」と呼ぶなど「箱」というものに執着していることです。
箱というものは彼にとって、自分自身であり、彼の世界そのものです。

このブログの方、先日の村上春樹片山恭一論(http://d.hatena.ne.jp/kokada_jnet/20040517#p1)と同じ方ですが、私、すっかり大ファンになりました。毎日、読むのが楽しみだ。いやー、イタイ系でもなく、ヒネクレタ視線でもなく、ここまで純粋まっすぐに文学評している人も、珍しいです。中学か高校の先生とかかしら。

共に現代社会の病理を象徴−64歳「箱男」と安部公房箱男

うーむカッコイイ!。新聞の文化欄でももう、こういうフレーズはなかなか出てきません。これは、まさに昭和歌謡系の評論ですよ。
なんかワカリマセンが、興奮しています。