1-02-01から1ヶ月間の記事一覧
「いよいよ日本篇の登場だね」 「ああ。ある意味では、この全集の”目”ともいえる巻だが、活きのいい国産品を集めてこんな巻を編めるなんて、つい数年前までの”舶来一辺倒”時代を思うと、まるで夢のようだな」 「まったく。例のジンクスー<SFと西部劇の出…
昔習った言葉に効用価値というのがある。SFのそれは、逃避だ、娯楽だ、と言われるだろう。だがぼくには希望を与えてくれる効能が大きい。過去も現在もだ。ぼくにとってSFは、希望の象徴と言っていい。 その背景には、ぼくの過去、大きく言えぱ日本の歴史…
ある日、私のところに友人の福島正実から電話かかってきた。 お互いに逢う機会がなくて、三、四年ぶりに久闊を叙しあったわけだが、彼はそのとき、SF小説と文学の問題について短いエッセイを依頼してきたのだった。たまたま、その数日前、私はパラードの「…
私のSFとのつき合いは昭和十四、五年、まだ小学校二、三年のころから始まる。もちろん、そのころ、SFなんてシャレた言葉はまだ無かった。どことなくやぼ臭い”科学小説”と呼んでいた時代である。世相的には太平洋戦争直前、戦争遂行のための科学振興政策…
「日本SF・幼年期の終り」に収録。
SFというものを知らずに、SFらしいものに、漠然と興味を抱いたのは、シュペングラーの「西欧の没落」を読んだときである。ぼくは没落の涯の回帰と再生を信じた。 戦前であった。太平洋戦争が末期的症状をあらわしはじめていた。ぼくは十八歳であった。ぼ…
飯田規和(いいだ・きわ) 昭和三年山梨県に生まれる。 昭和三十年東京外語大学ロシア語科卒。 ソヴィエト文学研究家。 出訳書 スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』(早川書房刊) R・E・コブリンスキ『電子頭脳の時代』(理論社刊) ユリアン・セ…
月光仮面、スーパーマン、海底少年マリン、忍者部隊月光、魔神バンダー、ウルトラマン、エイトマン、仮面の忍者赤影、バットマン、黄金バット、宇宙忍者ゴームズ、レインボー戦隊ロビン、タイム・トンネル、謎の円盤UFO、二十面相ジョニー、宇宙猿人ゴリ、仮…
月ロケットは、あらゆる現代彫刻よりも、新しい。 ヒューストン宇宙センターとアポロ宇宙船との間に交される無線の会話は現代詩を上まわる。 音のひずみ、発信者、空電妨害、通信の中絶、これらの交信は、ほとんどの電子音楽をもしのいだ。 気まぐれに歩くス…
ロシア文学はおそらく日本人の読者が明治以来もっとも身近に感じてきた外国文学だろう。それだけにロシア文学に対するある種の思いこみ、思い入れというものも強くて、ロシア文学は泥臭いほどのリアリズムで一貫しており、人がいかに生きるぺきかということ…
SF読者の中には「シュールレアリスム」をSFに近いものとする考え方があり、極端には、ある作品を「シュールか、SFか」というようないい方で並列的なジャンルとして分類している場合もある。私自身「シュール派」と呼ばれたことも何度かあり、一度この…
「日本SF・幼年期の終り」に収録。
今年最大の茶番は、なんといっても、アポロ11号の月面着陸探検行だろう−−というより、テレビ局によばれた解説者のかたがたの反応ぶりである。 私も人なみにテレビの前にすわり、逐一、進行状況を眺めたくちだ。打上げ(これも打上げなのか打下しなのか、考え…