1-02-01から1ヶ月間の記事一覧

言葉の壁 石川喬司

「いよいよ日本篇の登場だね」 「ああ。ある意味では、この全集の”目”ともいえる巻だが、活きのいい国産品を集めてこんな巻を編めるなんて、つい数年前までの”舶来一辺倒”時代を思うと、まるで夢のようだな」 「まったく。例のジンクスー<SFと西部劇の出…

SFに憑かれて 矢野徹

昔習った言葉に効用価値というのがある。SFのそれは、逃避だ、娯楽だ、と言われるだろう。だがぼくには希望を与えてくれる効能が大きい。過去も現在もだ。ぼくにとってSFは、希望の象徴と言っていい。 その背景には、ぼくの過去、大きく言えぱ日本の歴史…

SFの文学性 中田耕治

ある日、私のところに友人の福島正実から電話かかってきた。 お互いに逢う機会がなくて、三、四年ぶりに久闊を叙しあったわけだが、彼はそのとき、SF小説と文学の問題について短いエッセイを依頼してきたのだった。たまたま、その数日前、私はパラードの「…

解説者 福島正実

収録作品(石川喬司・福島正実編) 光瀬龍「限りなき空間」「宇宙救助隊二一八〇年」「人間を越えて」「落陽二二一七年」 高橋泰邦「宇宙塵」 石原藤夫「ハイウェイ惑星」 矢野徹「耳鳴山由来」 小松左京「神への長い道」「紙か髪か」「時間と次元への旅」「影が重なる時」 星新一「来たるべき明日」「白い服の男」 眉村卓「万国博がやってくる」 筒井康隆「ベトナム観光公社」「ブルドッグ」 生島治郎「世代革命」  谷川俊太郎「二十一世紀の教養」 河野典生「機関車、草原に」 都筑道夫「イメージ冷凍業」 北杜夫「贅沢」「意地悪爺

「世界SF全集」月報より

SFの夜明け前 斎藤守弘 

私のSFとのつき合いは昭和十四、五年、まだ小学校二、三年のころから始まる。もちろん、そのころ、SFなんてシャレた言葉はまだ無かった。どことなくやぼ臭い”科学小説”と呼んでいた時代である。世相的には太平洋戦争直前、戦争遂行のための科学振興政策…

私は前座 半村良

「日本SF・幼年期の終り」に収録。

没落への誘惑 虫明亜呂無

SFというものを知らずに、SFらしいものに、漠然と興味を抱いたのは、シュペングラーの「西欧の没落」を読んだときである。ぼくは没落の涯の回帰と再生を信じた。 戦前であった。太平洋戦争が末期的症状をあらわしはじめていた。ぼくは十八歳であった。ぼ…

解説者 石川喬司

収録作品(石川喬司編) 江戸川乱歩「押絵と旅する男」「鏡地獄」 小酒井不木「恋愛曲線」 平林初之輔「人造人間」 木津登良「灰色にぼかされた結婚」 直木三十五「ロボットとベッドの重量」 渡辺温「兵隊の死」 海野十三「振動魔」「十八時の音楽浴」「特許多腕人間方式」 夢野久作「髪切虫」「人間レコード」「卵」 小栗虫太郎「太平洋漏水孔」漂流記」  野村胡堂「音波の殺人」 星田三平「せんとらる地球市建設記録」 牧逸馬「七時〇三分」 久生十蘭「地底獣国」 木々高太郎「網膜脈視症」 大下宇陀児「ニッポン遺跡(抄)」 横

「世界SF全集」月報より

編者紹介

飯田規和(いいだ・きわ) 昭和三年山梨県に生まれる。 昭和三十年東京外語大学ロシア語科卒。 ソヴィエト文学研究家。 出訳書 スタニスワフ・レム『ソラリスの陽のもとに』(早川書房刊) R・E・コブリンスキ『電子頭脳の時代』(理論社刊) ユリアン・セ…

攫われる刻 須永朝彦

月光仮面、スーパーマン、海底少年マリン、忍者部隊月光、魔神バンダー、ウルトラマン、エイトマン、仮面の忍者赤影、バットマン、黄金バット、宇宙忍者ゴームズ、レインボー戦隊ロビン、タイム・トンネル、謎の円盤UFO、二十面相ジョニー、宇宙猿人ゴリ、仮…

何かをして・・・ 金森達

月ロケットは、あらゆる現代彫刻よりも、新しい。 ヒューストン宇宙センターとアポロ宇宙船との間に交される無線の会話は現代詩を上まわる。 音のひずみ、発信者、空電妨害、通信の中絶、これらの交信は、ほとんどの電子音楽をもしのいだ。 気まぐれに歩くス…

ロシア・ソヴィエト文学の幻想性 川端香男里

ロシア文学はおそらく日本人の読者が明治以来もっとも身近に感じてきた外国文学だろう。それだけにロシア文学に対するある種の思いこみ、思い入れというものも強くて、ロシア文学は泥臭いほどのリアリズムで一貫しており、人がいかに生きるぺきかということ…

解説者 飯田規和

収録作品(飯田規和編) イワン・エフレーモフ「宇宙翔けるもの」 ゲオルギー・グレーヴィッチ「創造の第一日」 ワレンチナ・ジュラヴリョーワ「宇宙船ポリュス号の船長」 アナトーリィ・ドニェプロフ「人間の公式」 ウラジーミル・サフチェンコ「ベルン教授のめざめ」 ストルガツキー兄弟「六本のマッチ」 M・エムツェフ&E・パルノフ「雪つぶて」 セーヴェル・ガンソフスキー「湾の主」 E・ヴォイスクンスキー&I・ルコジャノフ「不可能の方程式」 イリヤ・ワルシャフスキ「予備研究」 スタニスワフ・レム「事故」 アンジェイ・チ

「世界SF全集」月報より

シュールレアリスムと新しいSF 山野浩一

SF読者の中には「シュールレアリスム」をSFに近いものとする考え方があり、極端には、ある作品を「シュールか、SFか」というようないい方で並列的なジャンルとして分類している場合もある。私自身「シュール派」と呼ばれたことも何度かあり、一度この…

アスタウンディング誌と私 野田昌宏

「日本SF・幼年期の終り」に収録。

第三の顔 稲葉明雄

今年最大の茶番は、なんといっても、アポロ11号の月面着陸探検行だろう−−というより、テレビ局によばれた解説者のかたがたの反応ぶりである。 私も人なみにテレビの前にすわり、逐一、進行状況を眺めたくちだ。打上げ(これも打上げなのか打下しなのか、考え…

解説者 福島正実 伊藤典夫

収録作品(福島正実・伊藤典夫編) レスター・デル・リイ「愛しのヘレン」福島正実訳 ロバート・A・ハインライン「歪んだ家」吉田誠一訳 アイザック・アシモフ「夜来る」川村哲郎訳 ヘンリイ・カットナー「トオンキイ」南山宏訳 P・スカイラー・ミラー「存在の環」南山宏訳 マレイ・ラインスター「最初の接触」伊藤典夫訳 ウィリアム・ラン「クリスマス・プレゼント」福島正実訳 クリス・ネヴィル「ベティアンよ帰れ」稲葉明雄訳 ジャック・フィニイ「こわい」福島正実訳 ポール・アンダースン「野生の児」邦枝輝夫訳 ジェイムズ・ブリ

「世界SF全集」月報より