チョー変人 正岡容

いろんな辛さに押しつぶされそうな時、自分の場合、救いになるのは、「変な人」の堂々とした生き方を見せていただく瞬間。そういう意味で、テレビ朝日の変人クローズアップ番組「銭形金太郎」が、11月10日から放送再開はウレシイ。


ところで、ちくま学芸文庫から出た正岡容「東京恋慕帖」(ISBN:4480088806)で、解説についている正岡の弟子3人、桂米朝大西信行小沢昭一の鼎談を読んでみると、正岡容という人がまた、飛び切りの変人! 
読んでて楽しくて仕方なくなる。

さびしがりで、酒乱で、軽薄で、商売には汚くて・・、当時の文士たちには軽蔑されまくっていた正岡だが、この鼎談中の正岡は、カワイクておかしい。

小沢 だけとしつこいんだよ。ただもう、ヤツ(=弟子の大西)はどうなっているんだ、どうなっているんだと御下問になって(笑)。こっちもそう詳しく知りやしねえよ、ひとの色ごと。いったって説明するネタもねえからってんでいかねねえでいると、今度は手紙がしつこく来るんだ。午前と午後と夕方と日に三回繰るんですよ。ハガキや手紙が。
米朝 電話がなくてよかったネ。
小沢 あのころは電話がない。それで普通郵便なんだが表に必ず”急”と書いてある。あんなものかいたって早く届く訳はないとおもうんだけど。(笑)
大西 いや、それを僕もきいたことがあるんだけれどね、先生に。そしたら”急”と赤い字で書いてあれば郵便配達夫だって急がなければ悪かろうと思うに違いない、それが人情ってもんだって。(笑) 思うかねえ、そう都合よく相手がさ。(笑)
小沢 急ぐなら速達にすればいいのに、余分に切手をはってさア。
大西 張らないネ、ケチだから。

”急”と書いてある、というのはいいね。カワイイよ、これは。