「文学界」掲載 小林信彦「日本橋バビロン」 私怨をまた晴らしていた

読了。何回も書きつがれてきた、「日本橋モノ」のたぶん、最終作。
今回で印象深いのは、著者が大学の文学部に進学すると決めた際の、叔父2人のイヤミったらしい反応が詳細に書かれている部分。「さんざん、著書の父(=本家)に世話になっておきながら」、本家が亡くなると自分たちの立場がなくなるという、身勝手な叔父ら。


小林信彦って「私怨」小説家という面が非常にあって、私小説の半分くらいは「私怨を晴らすために書いているんじゃないか」と思えるトコロがある。まあ、そのクラーい所が、「信彦先生、やってるやってる」とこちらは嬉しいんだけど。