稲生物怪録は「いのうもののけろく」それとも「いのうぶっかいろく」? その2

こちらで書いた(http://d.hatena.ne.jp/kokada_jnet/20070512#p3)件、id:kuzanさんから、(http://d.hatena.ne.jp/kuzan/20070513/1179060253)で教えていただいた。ありがとうございます。

「物怪」を「もののけ」と読んだ例は、『書言字考節用集』*1にはあります。『書言字考節用集』は享保二年(1717)の刊行で、平田篤胤よりも古いものです。(慶長古活字板『太平記音義』にもあるようです。)


「物怪」を「もののけ」とは読めない、というのは、おそらく、『平家物語』「物怪之沙汰」など、中世以前においての話ではないかと思います。通常、『平家物語』では、「もっけ」という読みが選ばれています*2。平家の諸本にもあるようですが、「物怪」を「もっけ」と読むのは、古本節用集にも見られるものです*3。


田中貴子先生は、やはり、中世文学が専門の方なので、田中センセイのフライングかな。
小谷野敦先生、いかがですか?