水木悦子「お父ちゃんと私」(やのまん ISBN:4903548112) 「妖怪はいない」と言っていた水木先生・・

図書館本、読了。先日は水木先生の奥さんの本を読んだが、これは次女の悦子さんのエッセイ集。
悦子さんって、多分私と同い年くらいのはず。水木先生の結婚が遅かったせいだが、あの水木先生のお子さんが、自分と同い年というのは、不思議な感じがする。ちなみに、お姉さんは結婚して、水木先生は80歳にして「初孫」も生まれ、現在6歳だとか。


ただやはり、長年苦労をともにした奥さんの本と比べると、「水木エピソード」も薄い。


でも、非常にショッキングなエピソードがあった。
80年代前半、水木先生が「過去の作家」的に扱われて、スランプだった時。
さすがの水木先生も自信を失い、「妖怪なんていないんだ」と言い出すほどの落ち込みぶりだった(!)。
だが、悦子さんが修学旅行に行ったところ、旅館の障子に「目々連」を目撃し、その話をしたところ、水木先生は喜んで立ち直ったという。


他に面白かったのは・・。

  • 「イトツ」(突出して胃が丈夫)という、父親への「あだ名」は、水木三兄弟全員が使っていた。(父親をあだ名で呼ぶ子供たちというのも、凄い。さすがに、母親のあだ名「イカリ」は、本人にはいわかなったのだろうけれど・・。
  • 20年ほど前、その「イトツ」が原因不明の病気になり、寝たきりになって、耳の後ろにコブができてどんどん膨らんだ。すると、水木先生は自分の「博物館」から、小さな仏像をもってきて、「もう神様に頼むしかないから」といった。すると、不思議なことにコブが少しずつ小さくなり、「イトツ」は回復したという。
  • 悦子さんが中学生のころ、ムンクの絵が好きになり、上野の美術館で「ムンク展」をやっているんど見にいったところ、水木先生が一緒に来て、一作品ずつ「この絵はこういうことを描いた絵で、この絵を描いた頃のムンクは〜」と詳しい解説をしてくれた。あまりの詳しさに、「学芸員」と間違えて、「解説」を聞くおばちゃんたちの列ができた。
  • 江原啓之をテレビで見ていた水木先生は感激し、「この人の言うことは正しい。これからは霊の時代だ!」と言っていたのだが。数日後に悦子さんが「人間は死んだらどうなるの?」と聞いたところ、「ああ、人間は死んだら、何もなくなる」と答えたという。