安藤健二「封印されたミッキーマウス」(洋泉社 asin:4862482619)

図書館本、読了。
様々な雑誌に掲載された記事をまとめたもので、過去の安藤作品との内容の繰り返しも多いが・・。


でも「封印されたミッキーマウス」(小学生がプールに書いたミッキーの絵を、ディズニーが消させた話)と、「捏造された日本人差別 タイタニック生還者が美談になるまで」が読み応えがあった。


後者は、細野晴臣の祖父の細野正文はタイタニック号の生き残りで、長年欧米人から「卑怯な日本人」と非難され、日本の教科書にも「卑怯者の話」として載っていたが、近年になってその疑惑が晴れた、という説を検証してみるもの。


だが、安藤が一次資料にあたってみると、事実はことごとく違い、安藤は非常に苦心して調査してまったく違っていた。
その上、その「疑惑が晴れた」という記事が1997年に産経新聞に掲載されたのは、映画「タイタニック」の公開直前であり、制作会社のフォックスから「記事にしてくれ」と打診があり、宣伝効果的にに「美談」が報道されたのだという。


この話は、安藤は「一冊の単行本にしたい」と考えていたのだが、出版社の編集者から「そんな暗い結末」では売れない、と断られた。なぜに・・。こんなに面白い話なのに。