成瀬の「驟雨」

帰宅すると妻が、日本映画専門チャンネルで、成瀬巳喜男の「驟雨」を見ているので、私も途中から見る。この映画、成瀬の中で一番、好きなんだよなあ・・・。佐野周二原節子のサラリーマン夫婦のしょぼくれた生活。他人ゴトじゃあない。しかし、佐野周二はこういう「駄目な人の役」、やらせるとうまいねえ。
そして、原節子が参加させられる「町内寄り合い」の「文化度の高い人たちのエゴのぶつかりあいぶり」が、おかしいなあ。結末の紙風船のシーンも最高。


ところで、WIKIPEDIAに、この映画の項目があって、「小田急梅ヶ丘駅付近の、下町を舞台にした、庶民の庶民的な生活を描いた作品」とあって・・・。全部が間違いなので、イラつく。1951年の映画で、ピアノを習わせる家庭があったり、書斎を持った「作家」らしき人も住んでいるから、どう見ても「下町」じゃあない。
確かに「豆腐売り」は来ているが・・、「豆腐売り」が来れば「下町」と思っているのだろう、どうしようもない。


佐野周二夫婦も、「子どもはいないのに、妻が専業主婦をしている、サラリーマン夫婦」だから、中層階級でしょう・・。「庶民」じゃない。