小谷野敦「猫を償うに猫をもってせよ」(白水社 asin:4560031843)

図書館本、読了。


ブログ名と同じ名前なのだが、大半は新しく書かれた内容の、エッセイ集。
「世間の人々と私は感覚がこう違う」という話とか、文学、歴史、相撲、言葉づかいなどについの薀蓄など。


他者への攻撃性が、以前の著書より弱まっていて、楽しくずいずいと読んでいける。こういう内容で続編を(2)(3)と続けて出してもらいたい。


なお処女作『八犬伝綺想』で小谷野先生自身が示した「金碗大輔(ちゅ大法師)を伏姫の恋人にして、全編の主軸にする考え」を、「学問的には、近代的創造的誤読というほかはない」と書いている。


ところで「『昭』の字は知られていなかったという嘘、など」という文章で、「昭和になるまで、日本人は『昭』という字を知らなかった」という俗説にたいし、足利義昭、昭憲太皇后などの例をあげていて、なるほど、と思ったのだが。
その後に、「レミングの大量自殺は俗説」として、「ディズニーのアニメの影響」と書いてあるが・・。、これはアニメではなくて「白い荒野」という動物ドキュメンタリーが元凶。実際に、大量のレミングが海に飛び込むシーンがあって・・、これを見りゃ信じちゃいます。