鈴木容子「ゴングを鳴らせ 休刊になった週刊ゴングレイアウターの「出版裏街道を行く」」(源流社 ISBN:4773908041)

図書館本、読了。


2007年に休刊したプロレス専門雑誌「週刊ゴング」で、フリーの立場でレイアウターを長年つとめた女性の、回顧録的内容。
と書きながら、「レイアウター」という言葉を、私は初めて聞いたのだが。ようするに、写真と文章などの「割付(=レイアウト)」をする仕事。近年は「デザイナー」と呼ばれることも多いようだが、著者は「美大出の人は『デザイナー』だが、私のようにデザインの勉強をしていない人間は(著者は日本エディタースクール出身)レイアウターだ」と書いている。


レイアウターは「雑誌の材料が全部そろってから」とりかかる仕事なので、当然ながら夜間・深夜の作業をしいられる。
著者は1948年生まれなので、59歳までその激務をずっと続けてきたことになる。


その「深夜・早朝のタクシー帰宅」の生活を続けながら・・。さらに夫と二人での「零細編集プロダクション」での「最底辺な仕事の依頼」にも「休日返上・交代で24時間勤務の体制」で対応し、そして二人の子供を育てあげている。
巻末の「著者紹介」にある、「現在は富士通FIPディーシー入退出管理室で夜間受付として勤務」というのも泣かされる。これだけの激務をこなしてきた60過ぎの女性が、またも深夜勤務を余儀なくされているのか・・。