図書館本、読了。
著者は政治家への聞き書きによる「オーラル・ヒストリー」を提唱する政治学者。
その問題意識からの、戦後を代表する様々な人物たちの著書についての書評集。
とりあげられているのは以下の本。
- 徳川義寛「徳川義寛終戦日記」
- 徳富蘇峰「徳富終戦後日記」
- 卜部亮吾「卜部亮吾侍従日記」
- 笹川良一「巣鴨日記」
- 渡辺恒雄回顧録」
- 庄司薫「狼なんかこわくない」
- 岸信介、河野一郎、福田赳夫、後藤田正晴、田中角栄、中曽根康弘「私の履歴書 保守政権の担い手」
- 沢木耕太郎「危機の宰相」
- 「首相官邸の決断 内閣官房副長官石原信雄の2600日」
なかでも、巣鴨プリズン時代の笹川良一を日記から分析した文が面白かった。
戦前の「逮捕・拘置経験」がある笹川は、同じA級戦犯には「獄中体験者の先輩」として過ごし方の見本を見せ、また、A級戦犯の特権を認めない行動で、同居していたBC級戦犯の間にも人気抜群。
一種の「名物男」的存在だったという。