水木しげる「水木しげる貸本傑作大全1−4」(人類文化社)

図書館本、読了。
以下の、時代劇とファンタジー、ホラーを融合した作品を収録。水と油のような素材を混ぜているのだが、貸本時代の水木先生特有の緻密な絵柄で、魅力的な作品に仕上がっている。

  • 怪談幻行灯
    • この題名では予想もつかないが。江戸時代の長崎を舞台にしたアンデルセン「人魚姫」の物語。
  • 火星年代記
    • ブラッドベリの作品とは無関係。何千年も前に地球に飛来していた火星人「モゲータ」が、蘭学者の息子をさらって、妖術を用いてロケットを発見して火星に帰還する。蘭学者が発明した「戦闘馬車」の造形がナイス。
  • 深雪物語
    • 「羽衣伝説」+「かぐや姫」という合成。
    • 天女への求婚者たちへの「無理難題」の一つに「宇宙卵を育てろ」という命令があり、その卵たちは「フェッセンデンの宇宙」のように短時間で進化して、ロケットを作りだす。
  • 怪談鈴の音
    • 四十年前に、琉球で何百年も生きている僧を殺した薩摩武士。彼のもとに、仲間の仏僧たちが現れて復讐する。この本の中では一番つまらない話だった。