こちらでの議論を受けて、少し整理してみた。
http://d.hatena.ne.jp/mailinglist/20110501/p2
純文学と大衆文学との関係を、きちんと考えるなら、これくらいの整理は必要でしょう(まだ項目が足りない気がするが)。
- 物語
- A1 前衛的(蓮実的にいえば、逆に通俗)
- A2 知的
- A3 平凡
- ストーリーの論理性
- B1 前衛的(超論理)
- B2 論理的
- B3 こだわりなし
- 文体
- C1 前衛的
- C2 知的
- C3 非知的
- 人物・風俗描写
- D1 前衛的
- D2 詳細(リアリズム)
- D3 貧弱
- テーマ
- E1 前衛的
- E2 知的
- E3 なし
- 環境設定の日常からの乖離
これでどうだろう。
誰が読んでも大衆文学は:A3・B3・C3・D3・E3・Z3 である。
純文学とはポジティブな概念ではなく、「大衆文学」の補集合でしかありえない。そのため、上記の項目のいずれかが1か2であれば、純文学とよばれる可能性がある。
一方、誰が読んでも純文学(超前衛小説):A1・B1・C1・D1・E1・Z1 である。
ほとんどの散文作品はこの両極の間に分布している。
他に、おおざっぱに分類してみると・・。
村上春樹:A1・B1・C2・D2・E3・Z2
普通の本格ミステリ:A2・B2・C2・D3・E3・Z2
社会派ミステリ:A2・B2・C2・D2・E2・Z3
SF:B2・Z1−2
幻想小説:B3・Z1−2
小松左京的SF:B2・E2(E1?)・Z1−2
筒井康隆的SF:A1かB1かC1かD1かE1かZ1
蓮実先生や猫猫先生が「通俗な知的小説」として退けているのは、A1・E2またはE2・Z1−2の小説だろう。