横須賀図書館本から取り寄せてもらった図書館本。読了。
「ハウルの動く城」公開直後に刊行された本だが、「宮崎駿」という人自体が、いろんな側面から語れる「多面体」のような人なので、とても、面白い本だった。暴露的なネタも結構あったし。
以下、メモ。
- 石井克人×鈴木敏夫対談より(これは対談としては出来が悪い)
- 宮崎駿はこの数十年、映画を見ていない。ニューヨークに言ってマーティン・スコセッシにあったら、「マーティン・スコセッシって誰だ?」と質問した。
- 「もののけ姫」のタタラ場は小樽の鰊御殿(http://www.city.otaru.hokkaido.jp/kanko/nisingoten.htm)がモデル。
- 斎藤環
- 宮崎アニメは「少女のエロス」を中核に据えているからこそ、素晴らしい。
- 氷川竜介「現実の束縛を越える宮崎式アニメーションの力」より
- 押井守×上野俊哉対談(押井守が宮崎駿とのプライベートな人間関係を話す、という内容)
- ササキバラ・ゴウ「監督以前の宮崎駿」
- 「冒険活劇」としての「太陽の王子ホルスの大冒険」と、「日常の幸福」としての「パンダコパンダ」「アルプスの少女ハイジ」。この2つの原点。
- 津堅信之「アニメ史からみた宮崎駿とその作品」
- 永山薫「漫画「風の谷のナウシカ」の性とフラジャリティを巡って」
- 米沢嘉博「マンガとアニメと宮崎駿」(この著者の論考をもう読めないのか、と考えながら読むと、悲しいモノがあった)
- マンガとアニメと人的交流を煩雑に行ってきたし、また、マンガとアニメと映画は、互いにその技法を交換し合ってきた。
以下は宮崎アニメと無関係な、鈴木敏夫が話していたこと。石井克人が小栗康平が好きだと話した時に出た話題。なるほど、鈴木敏夫っていいセンスしてるな、と思った。
- 小栗は島尾敏夫の「死の棘」を映画化しているが、それじゃあ単なる「不倫映画」。妻の島尾ミホの「海辺の生と死」とあわせて映画化すればよかった。奄美大島に軍人として赴任してきた島尾と、村長の娘ミホとが純愛をする。そして、戦後、生き残った二人は東京に出て結婚するが、島尾が浮気することにより、悲惨な生活が訪れる。この2つをあわせて撮ると、面白い映画になったであろう、と。
あとでAMAZONのレビューを見ると、「これはジブリの暴露本である」という題名のレビューが興味深い指摘をしていた。
ふるくから付き合いのある押井守が、昔から観察してきたスタジオジブリと宮崎駿を、さらに、宮崎駿とその下にいた庵野秀明の関係などを、公式本(ジブリは必ず「監修」という名で、編集協力という名のチェックをしてきたのだ)では絶対に出せない内容が満載だ。
評論家や批評家などの宮崎作品およびスタジオジブリ評よりも、断然この本のおすすめはそれぞれが2万字を越える対談・鼎談である。
今回のハウルの動く城で、かなり宮崎のアニメタッチが変わったのがわかったでしょ?
その理由も、例えば、もののけ、千と千尋などで作画監督を担当してきた安藤雅司がやめたことも、○○○も関係あるのかもしれない。ジブリを通過してきた人間たちが、ジブリと宮崎駿を語り、なおかつスタジオジブリとしてはあまり日の目を浴びせたくない内容がぎっちりなのである