図書館本、読了。
「子猫殺し」騒動前の、最新エッセイ集ということで読んでみた。これは、毎日新聞に2003年から2004年にかけて連載されたもの。
「子猫殺し」発言につながる、著者の「現代都市文明に犯される前の、自然な暮らし」へのこだわりは、この本でも垣間見れる。
道路でひき殺されている野生の鶏をさばいて食べる。あるいは、飼い犬が狩ってきた鶏を、自分で殺して食べる。
焼畑農業をして野菜やコーヒーを育て、獣道を作り、雨がふれば木の下で雨宿りし、海に行きナマコや海ぶどうを取る。
そして、犬猫の激しい性交への衝動を見て、その本能を「本来あるべきもの」として感じとる。
この本に掲載されているエッセイでも、あと一歩で「子猫殺し」について触れてしまう所だったのだ。だが、「刺激的すぎる」という自制が働いたんだろうが、今回の日経新聞連載では、ついに書いてしまったワケだ。
なお、タヒチ社会の問題点(「今日のことしか考えない」という考えからの衝動的な生活スタイル、「物は自然にできるもの」という意識のための借りっぱなしや盗みの多さ)についても、色々とふれられている。
タヒチは、決して「南洋の楽園」ではなく、それなりの社会的問題を抱えた人々が暮らしている島だ。