津堅信之「アニメ作家としての手塚治虫」(NTT出版 asin:4757141521)

図書館本、読了。
既に世評のとおり、手塚アニメの2点の罪を否定している。
鉄腕アトムのリミテッド・アニメが日本アニメを堕落させた」「手塚治虫が、自分の原稿料をあてにした、制作費のダンピングのせいで、アニメ制作環境の劣悪化がおきた」の2つ。
その否定が、多数の関係者へのインタビューと、丁寧な検証により、なされている。
とても、面白かった。


そして、この本の結論によると、手塚治虫にとっては、「ディズニーは憧憬の対象としてはあったが、自分のようなアマチュアに真似できるモノではない」という認識であったそう。手塚にとって、むしろ実験アニメーションが、「自分ができるし、やりがいがある」ことだったようだ。
そして、虫プロにいた杉井ギザブローによると、「アトムは映像言語の新種」で、その後の日本アニメの発展の基礎となったのだが、そのことについて、手塚自身が無自覚であったという。