武良布枝「ゲゲゲの女房 人生は…終わりよければ、すべてよし!!」(実業之日本社 ISBN:4408107271)

図書館本、読了。水木しげる先生の奥さんの自伝。


いままで水木先生の自伝はさんざん、何回も読まされてきたが、「もっとも身近にいた他人」から見た、意外な水木先生像、ということで、とても面白かった。

  • 奥さんは165cmの長身だった。それもあって婚期が遅れた。
  • 水木先生は、母親の厳命で「見合い」「結婚式」の間、義手をつけていた。だが、本人は大嫌いだったので、その後、二度とつけることはなかった。
  • 貸本マンガ時代の水木先生の写真があるのだが、すごくやせていて、現在と別人のように見える。
  • 水木先生は、両親にも「東京で貧乏している」ことをかくしていた。そのため、見合いの時の話では、「東京で成功している」という話だった。だが、実際に結婚して東京に出てみて、奥さんはあまりの貧乏さに愕然としたのだが、水木先生の、非常に熱心なマンガ執筆ぶりに尊敬の念がわき、「墓場鬼太郎」などではアシスタント役をしていたという。
  • 膨大な切り抜き資料のほかに、「ハヤカワ・ミステリ」もたくさんあった。水木先生は、「これがネタ元になる」と言っていた。
  • あまりの貧乏で、奥さんが「働きに出よう」というタイミングで、妊娠が判明した。(何たるタイミングの悪さ!)
  • 水木先生は母親は「イカル」と呼んで、非常におそれていた。「心配する長文の手紙」がくるので、即、「元気だ」という葉書を返した。(返事をしないと、さらに心配して長文の手紙がくるのだ)
  • 仕事が最も忙しい時は、食事の時、奥さんと目をあわせることすらなかったとか。(その間も、ストーリーなどを考えていたのだろう)
  • テレビの「悪魔くん」や「ゲゲゲの鬼太郎」の最初の放送の際は、一家で正座してテレビを見て、終了後、拍手をした。
  • 娘たち二人が成人した後、水木先生は「娘たちは家から出さない」と、長女に婿をもらおうとした。(実際は結婚して、近所に住んでいる。なお、長女は教員をしていたが、現在は水木プロ勤務とか)
  • 荒俣宏は、「作家と有名になった後」に、突然、水木宅に来て「弟子にしてください」と頼んだとか。(WIKIの荒俣宏では、70年代に水木しげるに、既に会ったことになっているが・・。