団鬼六「我、老いてなお快楽を求めん 鬼六流将棋奇談」(講談社 ISBN:4062692740)

図書館本、読了。
題名は客寄せのためにオドロオドロだが・・。
だが、副題にあるとおり、「近代将棋」誌に連載されたエッセイからのセレクト版。将棋雑誌に書くエッセイは、鬼六先生もいい意味で力が抜けていて、実に面白い。20年くらい連載していたというから、できればコンプリート版を出してほしかったなあ。


それと、書き下ろしで、「人工透析」と拒否していた鬼六先生が、ついある医者の言葉にほだされて、透析患者になってしまった、壮絶で滑稽な日々についてのエッセイが収録。


将棋についてのエッセイでは、以下のヤツが面白かった。
宮崎国夫というアマ強豪と鬼六先生が共著で、伝説の真剣師小池重明の対戦集「真剣師小池重明 疾風三十一番勝負」という本を幻冬社で出したのだが・・・。
宮崎氏は将棋界では「プロ棋士ゴーストライター」を何度もつとめた人なのだが、この本を出すにあたって「文章が荒い」と、編集者からゴーストライターをあてがわれた。
鬼六先生は憤然と抗議したのだが、宮崎氏本人は平気で、それよりも「小池の棋譜の一局でもいいものいれたい」と意気込んでいた。


というので、出来上がった本を見てみたら、なんとその第一局は宮崎氏が小池に勝った将棋の棋譜が収録されていて、鬼六先生も唖然としたという・・。