フェリーニの異常な演出 DVD「フェリーニ 大いなる嘘つき」(asin:B000B4NG56)

ツタヤの郵送レンタルで。フェリーニへのインタビューを中心として、出演者・スタッフなど関係者のインタビューも加えた、ドキュメンタリー。


メイキング映像が残されていて、それで「フェリーニの演出法」を初めてみたのだが、これが、想像を超えたものだった。
演じている役者に向かってフェリーには次々と、「はい、前に進んで」「はい、こちらを向いて」「そこで笑って」と、ひっきりなしに指示を出し続けているのだ。それで、役者は完全に「操り人形」状態。こんな異常な演出をする監督は、他にいないんじゃないのかなあ・・。


フェリーニ作品に主演した、テレンス・スタンプドナルド・サザーランドがインタビューに答えていたのだが、その「まったく役者に意図を説明しないフェリーニ映画に、出演することの恐怖感」をシミジミと語っていた。
フェリーニのプロデュ−サーは、「そういう意味では、マルチェロ・マストロヤンニが最高のフェリーニ役者だった。イギリスやアメリカの俳優は質問をしたがるが、彼は、何の疑問も抱かず、フェリーニに指示されるとおり動いていた」と語っていた。マストロヤンニってアホだったのか、それともフェリーニ映画に出すぎて「こういうもんだ」と諦めていたのか・・。 


ということで、そういう「異常な演出」について突っ込んでフェリーニにインタビューすれば面白かったんだろうけれど・・。インタビュアーが「芸術とは」「即興とは」「死とは」などと抽象的な質問しかしていないようで。
フェリーニの語りがとにかく、終始、退屈。このドキュメンタリー作品は、全体としては、面白くも何ともない。