別宮暖朗「誰が太平洋戦争を始めたのか」 (ちくま文庫 ISBN:4480424652)

図書館本、読了。
戦史について、非常にオリジナルな「史観」を持っている著者が、「太平洋戦争勃発の経緯」を分析した本。


著者の主張では。対ドイツの同盟締結時には、外務省(松岡洋右)は「四強国による世界分割」、陸軍(東条英機)らは「日中戦争の収束」、近衛・木戸ら天皇側近は「ドイツに占領されたフランスなどの植民地の無血占領」、海軍条約派山本五十六ら)は「同盟による抑止力による日米戦争回避」と、まったく別々の思惑があったという。つまり、誰も対米戦争の意志はなかった。


それが開戦にいたったのは、山本が考案していた「ハワイ作戦」という「絶妙の奇襲作戦案」が暴走したのだと・・。陸軍の統制派の専制に対する、海軍リベラリズムのヤケクソ的な延髄反応として使用されてしまったという。