図書館本、読了。
一作年、49歳の若さで死去した、ドキュメンタリー映画監督・佐藤真。
「良心的」な題材の映画を作り続けた彼だが・・。
その映画論は、「ドキュメンタリー映画はフィクションであり、『世界を批判的に受けとめるため』のものでなければならない」という、まるで原一男や森達也が主張するようなものあった。
本書は過去のドキュメンタリー作家の主要な作品を取り上げ、その佐藤の「ドキュメンタリー映画論」の観点から、それらがいかに豊かな映画となっているかを詳細に論じたもの。
とりあげられているのは以下の映画。
- ロバート・フラハティ「極北のナヌーク」
- 小川紳介「三里塚 辺田部落」
- チャン・ヴァン・トゥイ「思いやりの話」
- 亀井文夫「戦ふ兵隊」「小林一茶」
- クリス・マルケル「サン・ソレイユ」
- ヴィム・ヴェンダース「東京画」
- ジョナス・メカス「リトアニアへの旅の追憶」
- 福田克彦「草とり草紙」
このうち私は、小川作とメカス作しか見ていないのだが。それでも、各作家がそれぞれもっていた問題意識と、実際の撮影作業の詳細とを、きめ細かに分析した内容が実に刺激的。