藤本和子「砂漠の教室 イスラエル通信」(河出書房新社 asin:B000J8KTNG)

図書館本、読了。
リチャード・ブローティガンの翻訳で知られる藤本が、夫でユダヤアメリカ人のデイヴィッド・グッドマンとともに、1976年から77年にかけてイスラエルに滞在した記録。


世界各地から生徒が来る「ヘブライ語学校」で学んだ経験や、インド系や北アフリカ系などの「非ヨーロッパ系ユダヤ人」、ベトウィンや高地に住む異端派ムスリムらと出会った記録。


藤本自身「イスラエルという国ほど、日本人が語りにくい国はない」と書いているが。
この滞在記は、やはり70年代後半、日本のインテリが忌み嫌っていた韓国に滞在した四方田犬彦の体験を連想させる。
実際、藤本も「この旅について書くにあたっては、「朝鮮生まれの森崎和江の朝鮮についての語り口」の影響を受けた、と書いている。


そしてそれから30年。韓国は「普通の国」になったのにも係わらず、イスラエルは軍事的緊張が続く異常国家であり続けている。