堀井憲一郎「落語論」(講談社現代新書 )

図書館本、読了。
いままでにない、結構、画期的な落語論かも。落語は「その空間を楽しむものであり、ライブでしかその魅力は伝わらない」と徹底して論じているのは、玉木正之蓮実重彦が80年代に提唱した野球論を連想させる。


「落語にキャラはない」「落語にストーリーはない」「オチに意味はない」「題名は符丁である」「落語は歌である」など、名フレーズ多々。
そして、「落語は演者と観客の共同で作られる弱い芸」であり、「ありそうな空間を作る」「自他を不明にする」のが目的だとする。


あいまいな「間」の意味についての分析。声色により「役」を演じ分けることの弊害。なども論じて、明快。