映画「名月走馬燈」
時代劇専門チャンネルで。1951年の衣笠貞之助監督作品。平日はテレビ時代劇ばかりのこのチャンネルだが、土日は渋い昔の映画をやってくれるのがうれしい。
結婚を誓いあっている板前の長谷川一夫と町娘の水戸光子が、運命に翻弄されて悲恋となる。
演出の見事さと、チョイ役に至るまでの俳優陣の演技のうまさに、「くら〜い話」ながら面白く最後まで見てしまった。
殺人を犯して江戸から逃げた長谷川一夫が、江戸に戻ってくるのが盂蘭盆の灯籠流しの日で。盆踊りをしている人々がかぶっている笠の上に灯籠をのせて踊っていたのがビューティフルだったが。
昔は本当にあんな盆踊りをやっていたのだろうか。
それと、中島らもがペンネームの由来にした、戦前派の時代劇俳優の羅門光三郎が、水戸光子を自分の物にしようとする「悪の武士」役で出演していた。この人が映画に出ているのを、初めてみた・・。
KAWADE道の手帖「安藤鶴夫 アンツル先生の落語演芸指南」(河出書房新社 )
図書館本、読了。
アンツル本をそんなに読んでいる私ではないのだが・・、あまり目新しい内容ではなかった。
三代目桂三木助の未亡人がまだご存命なのに驚いたのと・・。それと、アンツル関係の資料がなんと「さいたま文学館」に所蔵されているという事実に驚愕。
後者は、戦争中に妻の実家に3年だけ疎開していた縁で、桶川市の「桶川市立図書館」に寄贈され、そこから「さいたま文学館」(この館もなぜか、埼玉県桶川市にある)移ったものらしい。しかし、「東京っ子」の代表のような人の資料が「さいたま文学館」ねえ・・・。
それと大友浩が「古典落語」という言葉は安藤の造語ではない、という説を紹介していた。
それは、山本進の説らしいのだが。昭和23年の「第四次落語研究会」のパンフレットに今村信雄が書いたのが初出ではないかという(安藤が始めて用いたのは昭和29年のNHKの番組名「古典落語の夕べ」)。
アンツルの文章以外は以下が収録
- 渡辺保「劇評家安藤鶴夫の「私」」
- 荒俣宏「アンツルの声」
- 鴨下信一「下町言葉と鯛焼のしっぽ」
- 坂崎重盛「荘八の安鶴 「落語鑑賞」を中心に」
- 山川静夫「あんつるさんと義太夫」
- 安藤はる子「特別インタビュー:安藤鶴夫の娘という使命」
- 久保田万太郎「序と紹介」
- 大仏次郎「安鶴さんと「苦楽」」
- 金子桂三「安藤鶴夫先生の思い出」
- 中村梅之助「前進座「巷談本牧亭」の思い出」
- 津上忠「「巷談本牧亭」劇化と安藤さんの思い出」
- 小林仲子(三木助未亡人)×吉川潮:対談
- 戸板康二「安藤鶴夫の感動」
- フランク永井「わが座右の名放送 安藤先生のラジオエッセイ」
- 江国滋「寄席紳士録」解説
- 吉川潮「安藤鶴夫と私」
- 矢野誠一「安藤鶴夫の毀誉褒貶」
- 森まゆみ「明治の子 安藤鶴夫と岡本文弥」
- 大友浩「ホール落語と安藤鶴夫」
- 高田文夫「江戸っ子は大変だ」
- 立川談春「生きていくということの、あわれ」