原田芳雄エッセイ集「B級パラダイス」(KKベストセラーズ asin:4584191026)

図書館本、読了。82年発行で、原田芳雄42歳時点での、エッセイ、インタビュー、対談などゴチャゴチャに混ぜ合わせた、ヴァラエティ・ブック。
色々と、面白いエピソードがあった。

  • 子供のころ好きだったのは、落語と浪曲美空ひばり浪曲は、歌集を買ってよく練習した。
  • 中学のころ「ジャズ歌手」になりたくて、「素人ジャズ自慢」大会に出たが、鐘1つで落選。
  • 高校は「手に職を」と機械科に進んだが、機械が全然苦手で、山登りばかりしていた。(そのわりに、「列車・電車好き」なのは謎だが)
  • 就職は、「とにかく銀座で」ということで、銀座の農機具メーカー。でも仕事嫌いで、いつも重役出勤、週2,3回は休んでいた。それでも、1年半はクビにならず、自分から「辞める」といってやめた。
  • そのあとは、芝居にはまり、友人と共同生活。でも働くのが嫌で、腹が減っても我慢。空腹を我慢するために目薬を飲んだ。(そうすると「食欲がなくなる」そう)
  • 俳優座養成所に入ったが、月謝滞納して、本来3年で卒業のところ、4年かかった。
  • ツィゴイネルワイゼン」をベルリン映画祭に持っていったら、インタビューで「日本人は普段もフォークとナイフを使うのか」「あの洋館は映画用に作ったセットなのか(本当の洋館を使っているのに)」などと見当違いな質問ばかりで、むかついた。
  • ベルリンには、鈴木清順大楠道代+原田の3名で言った。その帰りにパリに寄って、フランス料理のフルコースを食べたが、原田はデザートのケーキ拒否。それを「タモリとの対談」で「食事の最後にケーキが出てくるなんて、そんな国にはブルースはわからない。だからシャンソンなんか大嫌いだ」と言ってる。
  • 松田優作も、原田芳雄と初対面の時は緊張して一言も口が聞けなかった。当時は、それくらいのカリスマだったという・・。
  • 「趣味」のことを聞かれると、渡哲也の趣味「焚き火」(これ有名)に勝てるものがないので、「趣味らしい趣味はないなあ」と答える。渡哲也のことは、兄貴分として尊敬しているらしい。後書きインタビューでは、「突然8ミリに凝ったり」「大掛かりな鉄道模型をつくったり」が現在の趣味と。
  • 一番嫌いなものは「トマト」。とにかく食べたくないそう。
  • おかしかったのは、西村寿行の「峠に棲む鬼」の解説対談のやりとり。聞くほうも聞くほうだけれども、答えるほうも答えるほう。
    • 原田「もうひとつ、寿行さんの小説に出てくる人物のセックス、全部バックスタイルになっていますね。あれは何か、無理しているんじゃないかという感じがするんですけど。
    • 西村「いや、無理なんかしてませんよ」
    • 原田「おかしいのはね、登場人物が新婚夫婦でも何でもみんな・・・そうしちゃうのが頑固なんですね」
    • 西村「うん、これだけは頑固で行こうと思って。