「残酷物語」の系譜

こちらで(http://d.hatena.ne.jp/kokada_jnet/20070618#p3)以下のように書いた件、前から気になっていたことなので、時系列を再整理してみた。

P194 南條範夫について、
「「残酷物語」は、映画やドキュメントの題名にも使われて、流行語となった」とあるが・・。
世界残酷物語」の日本公開は1962年。南條の残酷ものの第1作「被虐の系譜 武士道残酷物語」の刊行は1963年。 その前に、「雑誌への掲載」があるのかもしれないけれど・・。これは、映画の方が「先」ではないのかなあ。どうなんだろう。


すると、南條の「残酷モノ」第一作は、国会図書館データベースによると、1959年に発行された、その名もずばり「残酷物語」であった。
その他の「残酷物語」も整理すると、以下のとおり・・。


1937年 ヴィリエ・ド=リラダンの「残酷物語」の翻訳刊行。
1954年 リラダンの「残酷物語」が新潮文庫に。
1959年 南條範夫の「残酷物語」刊行
1959年 宮本常一他編集の叢書「日本残酷物語」が刊行開始。(それと無関係な映画、「日本残酷物語」は63年公開。これはヤコペッティの亜流)
1960年 大島渚の「青春残酷物語」公開。
1961年 永島慎二のマンガ「漫画家残酷物語」刊行。
1962年 ヤコペッティの「世界残酷物語」公開。
1963年 南條範夫の「被虐の系譜−武士道残酷物語」刊行。同年に「武士道残酷物語」として映画化。


そして、63年以降は、書籍にも映画にも、大量に「残酷物語」という言葉が使われて、ブーム状態になっている。(ブームの影響は、「世界残酷物語」の大ヒットが大きいのだろう)
こうして、調べてみると、(リラダンという「元祖」があるとはいえ)、基本的には、呉智英先生が、書いているとおりであった。