「ロスト・イン・トランスレーション」(asin:B0000YTR5K)

WOWOWでやっていたので、いまさらながら、つい見てしまった。
妻は「東京の孤独」ぶりに、「ぼろ市の楽しさが吹き飛んだ」と落ち込んでいたが。私は「悪意を持って、日本という国の悪趣味な所を強調した、笑える映画」として、結構楽しんで、観てしまった(二人の恋愛には興味なし)。
これは、ソフィア・コッポラが、前の夫のスパイク・ジョーンズと日本に来た際の経験を、元にして撮ったらしい。
スパイク・ジョーンズは、滞在中は「ジャッカス」の撮影にかかりきりで・・(パンダの着ぐるみ着て、スケボーやるシーンとかあったよな)。
一人残された、インテリでオシャレさんのソフィア・コッポラ様には・・。子供っぽい文化で、悪趣味な日本は、大嫌いになった模様。


これは、ソフィア・コッポラの意図とは別に、2000年代の日本の「悪趣味な風景」を、うまくキャッチした映画だと思った。日本側のスタッフが、かなり優秀だったんだろう。

  • 「東京観光映画」としてはかなり、完璧。ロケは主に新宿と渋谷だか、印象に残る風景を、バッチリ捕らえている。カラオケ、寿司屋、寺院、しゃぶしゃぶ屋、ゲーセン、パチンコ屋と、場所も見事に網羅。
  • ビル・マーレーのカラオケも格好いい。考えてみたら、「サタディ・ナイト・ライブ」で「リゾート地のホテルの変な歌手役」やってたな。
  • ただ、ストリッパーがいたバー、あんなのは、日本にはないだろう。
  • 一方で「国辱映画」としても完璧。ビル・マーレーが出演するのが「サントリーのCM」と企業名まで、ずばり出してしまうも笑ってしまう。でも、外国の映画スターに名刺を渡す人たちは、現代の日本には、さすがにいないだろう。それに、あんな傲慢なCFディレクターや写真家、変な迫りからする娼婦も、いくらなんでもいないんじゃ・・。写真家が「この人みたいな感じで」と出す俳優たちの例が、あまりにも陳腐で笑ってしまった(ショーン・コネリー版の007は、当然公開されてますよ)。でも、その誇張された間抜けさが、「ビル・マーレーの孤独感を増す」のだから・・。なんていうか、コメディとして誰かリメイクしないかなあ。
  • でも、ある意味、日本人役者たちの「嫌な日本人演技」は完璧。彼らはどういうツモリで演技して、どういうツモリで完成された映画を観たのだろうねえ。ソフィア・コッポラは、よほど日本滞在体験が辛かったんだね。「電車の中で、大人が漫画を読むシーン」もバッチリあったしね。
  • あと、「日本のジョニー・カーソンのショウに出てください」といわれて、実際に出てきたのが「アノ人」だったのは、笑った。
  • それと、ソフィア・コッポラは、キャメロン・ディアスも相当、嫌いなんだね。彼女に似た女優が出てきて、すごく「嫌な女」の役柄だった。
  • ビル・マーレーの奥さんが、東京で仕事している旦那に、ファックスや国際宅配便で色々と送りつけてくるのも、笑った。
  • スカーレット・ヨハンソンが下着姿になるシーンがあるが、全然イロっぽくない。女性監督が撮ると、やっぱり、こうなるんだね。
  • エンディグ・ソングに、はっぴいえんどの「風をあつめて」が流れるのはなぜ? 誰が選んだの?


しかし、国際的にこれだけ馬鹿にされたサントリーは、名誉回復のため、是非、「ビル・マーレーを起用した、素晴らしいコマーシャル」を作ってほしいねえ。
まあ、ビル・マーレーの、日本での知名度では、難しいんだけれど。