藤原智美「暴走老人!」(文藝春秋 asin:416369370X) 気持ちがよく分かる

図書館本、読了。
かつての「おとなしくて、老成した存在であった」老人と違い、近頃の「新老人」には、実にささいなことでキレて、暴力行為を起す老人が増えていることに、著者は気づく。


その原因として、核家族家庭の老化による「孤独老人」の増加、時間が細かく管理される社会の中で「無駄な時間」を取らされることへの「過剰な怒り」、サービス労働から発する「社会の過剰丁寧化」、消費空間での「オレ様化」、携帯電話やウェブでの効率的なコミュニケーションから老人たちが「取り残されることへの不安」、などをあげ・・。
「暴走老人!」は、日本の社会が崩壊していく、前兆でないかという。


しかし、考えてみれば、オレが、今の職場で感じている、辛さ、やりきれなさも、なんだか「暴走老人!」と似ているなあ・・。
まわりがバリバリ仕事している中で、大した仕事を与えられていない「不全感」。休職前に事業部を異動したため、まわりに全然知り合いがいない「孤独感」。まだ「病人」で体も心も辛いなのに、そのグチを誰にもこぼすこともできない「悲しさ」。


それらの、辛さがつもって、今日も、自宅に帰って「ギャー」「ギャー」と何度も叫んでしまった。
(ちなみに、妻も横で、今日も怖い幻聴にやられて、「キャー」と叫んでいる。危ない夫婦だよ〜)


ちなみに、川崎のマンションで迷惑ビラをまいて追い出された時の心理も、「暴走老人!」だったなあ・・。
この本の中に、亀の甲羅に穴をあけて紐を通して散歩し、注意した警官に噛み付いた老人の話が出てくるが・・。彼の気持ちがよくわかるよ・・。孤独で社会から無視されている怒り・・。