山際素男「脳みそカレー味 岸田今日子・吉行和子とのインド旅日記」(三一書房 ISBN:4380852032)

図書館本、読了。インド文学者で、近年は「ダライ・ラマ自伝」の翻訳者として知られる山際が、1984年末から1985年初めにかけて、岸田・吉行の両女優、そして岸田の娘のまゆさん、それから後にノンフィクション作家になった山下柚実(当時、早大生)、以上の4人を連れて、インドを旅行してきた話。
しかし、行った時期は非常に物騒な時期で、シーク教徒の虐殺に抗議して、インディラ・ガンジー首相が殺害された直後である。


岸田・吉行は「大親友」として知られているが、どうもこの旅がきっかけで、そうなったらしい。
また、遺跡などいわゆる観光コースにも行っているのだが、二人はそれに興味がなく、疲れたら途中で引き返したりしている。
あと、山際も「研究者」なので、「観光旅行」にはなれておらず、タクシー運転手が案内する店にいってアクセサリーを買い物させて、ホテルに戻ってみたら、ホテルのほうが「いいものを安く売っていた」なんて、目にあっている。


ちなみに、この「山際素男」という人はかなりの「奇人」らしく、20代の頃に同人誌を一緒にやっていた関係で親友の色川武大から、奇人ばかり出てくる色川の傑作短編集『怪しい来客簿』に山際を登場させたいと思われたいたほどらしい。(でも、『怪しい来客簿』に登場されるのは、「基本的に死んだ人だけ」というポリシーがあったため、断念したそう)