近藤正高「私鉄探検」(ソフトバンク新書 asin:4797346604)

読了。広く「公共的な事物」(放送、イベント、鉄道、空港など)について、政治史、社会史、文化史など横断的に論じている著者の、初の著書。なので、普通の「鉄道本」とは一味違う。

とりあげられているのは、「西武鉄道」「京王電鉄」「京浜急行」「つくばエクスプレス」「名古屋鉄道」「近畿日本鉄道」「阪急電鉄阪神電鉄」。

新規開通した「つくばエクスプレス」についてのみは、通常の「鉄道本」らしき記述だが。それ以外の歴史ある私鉄たちについては、著者独自の観点から論じられている。
たとえば、京王電鉄における「井の頭線の異端ぶり」。あるいは京浜急行における「空港線の特異な歴史」など。特に後者は、「羽田」という戦後大きく変貌をとげた地域の文化史として非常に興味深い内容だ。


また、名古屋鉄道は、著者が育った地にある路線ということもあり、個人的な思い入れもこめられた描写で、この電車になじみがない当方には非常に興味深い内容だった。