獅子文六「信子」(角川文庫)

先日、映画版「信子」を見たので、その原作をと・・、手元にあった未読本を読んでみた。


「一本気な新任の女先生が、女学校の先生間の学内闘争に巻き込まれる」話。(映画では、その「学内闘争」をはしょっていた)
漱石の「坊ちゃん」みたいだなあと思って読んでいたら、連載した「主婦之友」の編集者が「坊ちゃんの女性版を」ということで依頼された作品らしい。戦前の女学生の間では、「オース」(オー素晴らしいの略)という言葉がはやっていることがわかったりして、面白い。獅子文六の小説は、その題材に詳しく取材してリアルに描くことが特徴だから、この作品も女学校に綿密に取材して書いたのだろう。