近代ピラミッド協会編「オカルト・ムーヴメント近代隠秘学運動史」（創林社　ISBN:488165053X）

図書館本、読了。

近代オカルティズム史に関わる論考を集めたもの。８６年刊行だが、今読んでも新鮮。
といっても、「従来のオカルト研究書で、あまり取り上げられなかったもの」を中心に執筆されているので、基本的な知識がない自分的には微妙。もっと「基本書」を読んだ後に読むべき、「上級者向け」の本だったかも。

横山茂雄「影の水脈――西洋近代オカルティズム略史」
- フォックス姉妹によるスピリチャリズム・ブームから、神智学まで。
岩本道人「神智学の誕生――或いは、ＨＰＢとアメリカ」
- ブラヴァツキー夫人の生い立ちから、世界を放浪する、アメリカ到着までの「プレ神智学」時代を描く。
平井恭介「後期神智学協会とメシアニズム――〈マスター〉から〈メシア〉へ」
- ブラヴァツキー夫人死去後の「後期神智学協会」というあまり取り上げられない部分の歴史を描く。二代目会長のアニー・ベザントは「インド自治運動」にもかかわっており、そのため、ネルーらインド人の独立運動家も、一時、神智学協会に加入するほどだったという。
田中義廣「アガルタと太初の伝統」
- フランスの神秘主義者たち。
浅井雅志「真理への旅――グルジェフ、その前半生」
- ロシアに現れる前のグルジェフの前半生を描く。
井村宏次「清水英範と霊術家の時代」
- 霊術家を「医学として認めさせようと」奮闘した清水英範の評伝。
森岡正芳「自己意識の変容と拡大――多元的リアリティを求めて」
- トランスパーソナル心理学について。これは、あまり興味ない世界だなあ。