小谷野敦「中島敦殺人事件」(論創社 )

読了。
中編「中島敦殺人事件」は「美人作家は二度死ぬ」に続く、80年代の国文学大学院生・菊池涼子モノ。中島敦の「過剰評価」についての議論は面白いが、涼子に彼氏ができてしまったのは残念。これではもう、続編が書きにくいのでは・・。
短編「天皇の煙草」。前半は喫煙者の味わう苦痛をこれ以上ないほどリアルに描き。後半は、主人公の内面をまったく描かず突飛な行動が連続する、中期筒井康隆的な展開。巻末の解題の大久保康雄についての記述も興味深かった。