ユリイカ10月増刊号「特集:杉浦日向子」(青土社 asin:4791701844)

図書館本、読了。
冒頭にある、ご家族提供の子供の頃の彼女の、生き生きとした写真。そして、続いて掲載されている写真家であるお兄さんの思い出文。
これらを目にするだけで、「杉浦日向子のいない世界」というのが、自分にとって耐え切れないほど寂しい世界であると実感する。

【アルバム】杉浦日向子のひなた道
【単行本未収録作品】三味線枕(さみせんまくら)/ 杉浦日向子
【対談】怪談都市、江戸。/ 杉浦日向子中沢新一
【回想】
妹順子 / 鈴木雅也
絵師 杉浦日向子の思い出 / 石川英輔
夢の如く / 中島梓
スズメが好きだった日向子さん / 林丈二
スタイリッシュ・キッズ / 福田由実
【日向子寄せ絵】
『合葬』 へのオマージュ / 畑中純
若き江戸文化研究家の修行時代 / 近藤ようこ
日向子先生へ / 中野シズカ
【座談会】
酒とソバとお風呂とお江戸。あるいは、その妖精 「ソ連」 による杉浦日向子/ 北村暁子+栗原正哉+杉原信行+濱中博久+廣田眞一+福田由実+森山悦子
【エッセイ】
江戸の人 / いしかわじゅん
利発な女の子 / 南伸坊
日向子氏の距離 / 加門七海
ハカナイサガシ / 佐藤弓生
きもの女性文化人としての杉浦日向子さん / 澁谷知美
【論考】
ひな鍔 / 平岡正明
怪を語りて夜もすがら 杉浦日向子と怪談愛好の系譜 / 東雅夫
町娘の江戸 杉浦日向子の考証と通 / 高橋明彦
大江戸ワンダーランドとしての 『百日紅』 / 永山薫
読めるのに書けず、描けるのに見られないものの世界 / 中田健太郎
江戸発展史にみる杉浦日向子 / 榎本秋
【翻訳される杉浦日向子
フランスに江戸の夢を! / 小山ブリジット
『二つ枕』 仏訳について / 関口涼子パトリック・オノレ
【資料】
杉浦日向子全著作解題 / 末國善己
【付録】
「吉良供養」(下書きヴァージョン) / 杉浦日向子


末尾にある「ソバ好き連」(ソ連)の人たちの座談会が、貴重な情報。病弱な彼女は、蕎麦好きといっても、蕎麦もほとんど食べなかったとか。



以下に関係者を整理してみた。
「ソバ屋で憩う」1999年
メンバー・プロフィール

  • 杉浦 東京生まれ。ソパ屋で昼酒を堪能した帰りに銭湯へ通う。三十路半ばから、日夜、向上心のない隠居道にいそしむ。座右のの銘は「楽」。
  • 石田 横浜育ち。野暮な先祖の祟りか酒はほとんどいけないくちで、ついソバやつまみを食べすぎて腹を壊す、でなければ太る、という無頼な日々を送る。
  • 大墻 埼玉うまれ。ソバを食らうことが大好きでありながら、決してグルメに陥ることなく、常にリーズナブルな値段とサービスを求める健全な「ソバ食らい」。
  • 栗原 東京生まれ。和洋中韓なんでもごぎれの麺食いだったが、今や次第にソバ一筋に。池袋育ちという土地柄ももあり、本来の江戸ソバに目覚めたのも遅い。
  • 齋藤 横須賀・浦賀の生まれ。趣味は釣り。大学院ではウニ、ホヤ、ヒトデを研究したソ連唯一の科学畑出身で、酒を呑まないらしい特異な会員。
  • 桜井 横浜生まれ。なのに五歳から十八歳まで名古屋で育つ。田舎ソバを好むのは太めの麺がきしめんに似ているから?と言われるのが悔しい。
  • 杉原 大阪生まれ。日本の正しい居酒屋を探求しつつ、各地のソバ屋も探訪。昼酒の魅力に負け、関西のうどん派から転向した「転びソバ連」。
  • 相田 長崎生まれ。小さな頃、何かの用事で父に連れられて上野に出かけた。帰り道、不忍池近くのソバ屋に寄った。父は天ぷらそばで私はかけそばだった。
  • 田辺 東京生まれ。休日には、父が特性おろしソバを作る家に育つ。四世代同居の七人家族。一家で谷中への墓参りの日、神田のやぶに行くのが楽しみであった。
  • 田村 札幌生まれ。田舎においしいソバ屋と好物の鰻があれば文句はないのだが、そのどちらも揃っている東京を離れられない自分を卑しいと思う、廣田 東京生まれ。上野・浅草を庭にして育ち、毎日のように伯母のお供で観音様に参る。ソバの原点は並木の藪。下町の情を残す店を愛す。           ‐
  • 福田 名古屋生まれ。無類の酒好きで猫好き、麺好きだが、関西系の血統ゆえにソバだけは苦手だった。ソ連で目覚め、今や三食ソバでもいいと思う。
  • 円井 京都生まれ。繊細なるうどん文化圏に育ったため、成人するまでソバに親しまず。二十四歳の折松江にて出雲ソバに出会い目からウロコ。そして江戸前へ。
  • 森山 神奈川生まれ。育ちは関東だが両親が西の出身であるためソバ開眼は遅い。一九八九年暮れ、並木藪の鴨南でソパにハマる。


「もっとソバ屋で憩う」2002年

  • ソバ好き連 1991年(平成3年)杉浦日向子がソバ屋でのリラクゼーションという道楽に気付いた時に芽吹いた同好の集まり。メンバーは幹部5名を中心に十数名。共にソバ屋への愛を育んで現在に至る。

メンバー・プロフィール(追加メンバー)

  • 北村 東京生まれ。麺好きでソバも好き。夫も息子もソバ好き。ひとりでよし、一緒もまた楽しというソバ屋がすき。「ソバ・で・クルージング」の悦楽。夕ソバ、深夜ソバをもっと堪能したい。
  • Andryu-Hina 音楽をこよなく愛する男女ユニット。ソ連賛歌「Soba De Samba」を作曲。


ユリイカ」2008年 
座談会

  • 北村暁子(新潮社・編集者)
  • 栗原正哉(元新潮社編集者)
  • 杉原信行(新潮社・編集者)
  • 濱中博久(NHKアナウンサー)
    • この人が司会をしていた番組「歴史発見」の関係者男性3名、それを「東京イワシ頭」などの編集者・森山女史とで「ソ連」を創立したとのこと。
  • 廣田眞一(編集者)
  • 福田由美(新潮社・編集者)
  • 森山悦子(講談社・編集者。「東京イワシ頭」などのポアール・ムース・モリヤマ)