福島正実の原案を元に、当時のSF界が総力をあげて執筆した、伝説の「SF論&SFアート」のシリーズ、全7巻。学生時代、古本屋の本棚で、「あー、欲しいけど高いなあ」と臍を噛んだ本だ。
シリーズ全体の構成は、「1 地上編」「2 時空編」「3 異世界編」「4 幻想編」「5 風刺編」で、小松左京&石川喬司監修。「6 マンガ編」は編集顧問:松本零士。
で、私が一番読みたかったのは、この「7 アート編」。というのは、海外のSFアートについては、色々と野田さんの本なり、ネットなりにまとめられているのだが、日本の初期SFアートの作家たちをきちんと紹介しているのは、この本くらいだから・・。
それで、今回は図書館で借りました。地元の川崎市の図書館にはなかったので、座間市の図書館から取り寄せてもらった。
この本の目次は以下のとおり。
(1)センス・オブ・ワンダーの視覚 鏡明
(2)ロケット・ファンタジー 池松均・画
(3)テクニカル・マニュアル集 幻想工学同好会
(4)米パルプ誌の巨匠たち 野田昌宏・安田均
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- ここでは、いつもの「フランク・リード・ライブラリー」に始まる「野田節」の前に、ヴェルヌやウェルズ時代の、英仏の画家たちが紹介されている。そのなかでも、アメージングだったのは、ジュール・ヴェルヌの同時代人にして、「20世紀」を幻視していた画家「アルベール・ロビーダ」だ。
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http://www.robida.info/
(5)イギリスの新世代SFアーティストたち 安田均
(6)マニエリスムの小宇宙 海野弘
(7)日本のSF&スペースアート アーティスト22人勢ぞろい
(8)SF画集ガイド 海外SF研究会
この(7)「日本のSF&スペースアート アーティスト22人勢ぞろい」の各作家のプロフィールを紹介してみると・・。
- 名前
- 生年/活動分野/主要作品/SFへの興味/好きな画家や作品
- 岩崎賀都彰
- 1935/宇宙画/「宇宙」「地球」「海」(以上学習研究社)の多数の作画を担当/科学に裏付けられた絵画を仕事としているので特に関心はありません。/チェスリー・ボーンステル
- (現在、知らないうちに、岩崎一彰って名前に改名していた)
- 中島章作
- 1912/未来画・科学画/高木純之助+高木純一「未来の世界」等/原田三夫先生の理科小説には強い影響を受けました。現代の作家では、クラーク、アシモフ、小松左京など/チェスリー・ボーンステル
- 真鍋博
- 立川博章
- 山田維史
- 花輪和一!!
- 友利直司
- 角田純男
- 新井苑子
- 中島靖侃
- デッキー・池守
- 武部本一郎
- 1914/児童書、SFなどの挿絵/「火星シリーズ」「コナンシリーズ」「ガラスのうさぎ」等/ウェルズが好きです。「宇宙船ビーグル号」を楽しく読みました。/アーサー・ラッカム、ケート・グリンナウェー、クリス・フォス
- 柳柊二
- 加藤直之
- 1952/SF画/「SFマガジン」表紙77年7月より、「銀河辺境」シリーズ等/中学時代「火星シリーズ」と最初の接触。今はホールドマンに凝ってます。/武部本一郎、フラゼッタ、ノーマン・ロックウェル
- 金森達
- 斎藤和明
- 小松崎茂
- 長岡秀星
- 1936/60年代後半、少年誌や図鑑などに、未来画、科学画、機械構造図等を制作。70年渡米。広告美術の世界で話題を呼ぶ。/「ELO」「アース・ウインド&ファイアー」などのレコードアルバムのジャケット画など
- 池松均
- 1938/資料画、SF画、エディトリアル・デザイン/半村良「軍靴の響き」、「宇宙飛行の図解」など/ダヴィンチ、ゴヤ、ノーマン・ロックウェル
- 依光隆
- 笠井繁夫
- 生頼範義