1-01-31から1日間の記事一覧

土方的SF賛成論 荒巻義雄

「……SFは高級な一種の白痴芸術ではないかと思った。たとえば歌舞伎の荒唐無稽さやオペラのばかばかしざに通じてゆくところがある」といった、ある中くらいの文芸評諭家がいた。この人は知性的なのだろうか、それとも痴性的なのだろうか。どうせ物にたとえ…

SFとの出会い 中島靖侃

灰色の平原が金属の一枚板のように視界の限りひろがっている。空は乳白色で何もない空間。地平線に向かって六本の平行線が真直に並んで無限に走っている。なんとも冷たく寂しい情景で、見ているうちに我慢ができないほど無気味になり恐怖の叫びをあげると、…

科学の檻 塚本邦雄 

一頃のぼくにとってSFとは、「火星年代記」と「鋼鉄都市」がそのすべてであり、他を悉く消去してもこのニ作さえあれば良いと頑固に信じていた。勿論、ブラッドベリとアシモフの最高作であることは、大概のつむじ曲りでも認めるだろうし、てはフィニイはど…

解説者 福島正実

収録作品(福島正実・野田昌宏・伊藤典夫編) フィッツ=ジェイムズ・オブライエン「金剛石のレンズ」稲葉明雄訳 アーサー・コナン・ドイル「ロス・アミゴスの大失策」福島正実訳 H・G・ウエルズ「新加速剤」宇野利泰訳 クルト・ラスヴィッツ「万能図書館」小尾芙佐訳 エドモンド・ハミルトン「フェッセンデンの宇宙」稲葉明雄訳 アンブロウズ・ビアス「霊の内なる難船」中村能三訳 ギョーム・アポリネール「オノレ・シュブラックの失踪」窪田般弥訳 エドガー・ライス・バロウズ「火星の月のもとで」関口幸男訳 A・メリット「竜の鏡」団

「世界SF全集」月報より