1-01-31から1日間の記事一覧
「……SFは高級な一種の白痴芸術ではないかと思った。たとえば歌舞伎の荒唐無稽さやオペラのばかばかしざに通じてゆくところがある」といった、ある中くらいの文芸評諭家がいた。この人は知性的なのだろうか、それとも痴性的なのだろうか。どうせ物にたとえ…
灰色の平原が金属の一枚板のように視界の限りひろがっている。空は乳白色で何もない空間。地平線に向かって六本の平行線が真直に並んで無限に走っている。なんとも冷たく寂しい情景で、見ているうちに我慢ができないほど無気味になり恐怖の叫びをあげると、…
一頃のぼくにとってSFとは、「火星年代記」と「鋼鉄都市」がそのすべてであり、他を悉く消去してもこのニ作さえあれば良いと頑固に信じていた。勿論、ブラッドベリとアシモフの最高作であることは、大概のつむじ曲りでも認めるだろうし、てはフィニイはど…