桜井昌一「ぼくは劇画の仕掛人だった」(エイプリル出版)

これも図書館本、読了。前半は「ガロ」に連載された、貸本作家時代の回顧録「劇画風雲録」で、これは後に桜井文庫から再刊されていて、私はそちらの版で読んでいる。


後半は、刊行時に書き下ろしの交友録「劇画人列伝」で、こちらが面白い。


メンバーは、水木しげる滝田ゆう佐藤まさあき水島新司山上たつひこ永島慎二つげ義春さいとうたかを白土三平と、キャラ立ちまくりの先生方。
水木先生の妖怪キャラぶりとか、佐藤まさあきのデラックス趣味(豪邸に滝を作ったのは有名だが、劇画工房時代から酒も飲めないのに事務所にホーム・バーを作って悦にいっていたらしい)とか、水島先生のド根性ぶりとか、それぞれいい味だしているの・・。


だが、「あまりつきあいがなかったため、わざわざこの企画のために会って取材して書いた」山上たつひこのエピソードがサイコー。
「住まいは航空写真を参考にして、方位をもとに決めた」「老若男女に支持される国民マンガをかきたいという」「食べ物に対する薀蓄が始まると止まらなくなる」という、普段マスコミに出てこず、マンガの中で小出しにしている、山上先生の濃いキャラが爆発。

そういえば、双葉社の「山上たつひこ選集」に掲載されていた「自伝」は、まとまった本にならないのかな、あれ、読みたいのに。