読みたい本 中込重明「落語の種あかし」(岩波書店 ISBN:4000024213)

「芝浜」「文七元結」「帯久」「大山詣り」「黄金餅」「風呂敷」「塩原多助一代記」…古典落語の多くは、噺本、黄表紙、読本、講談、歌舞伎など、先行する文芸に材を得ている。史実に基づくと思われていた噺が、実はまったくの虚構だった…、虚構である噺から伝承が生まれていた…、など、その成立を巡っては、虚実が複雑に絡み合う。豊富な読書量に培われた博覧強記で知られる著者は、類似の説話を比較対照することにより、落語がいかにして創りだされたかを解きあかす。年に二〇〇回は寄席・ホールに足を運ぶという、無類の落語好きでもある、著者の面目躍如の種あかし。

小谷野敦先生のはてなhttp://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20070519)で、教えていただいた、若くして亡くなった、落語研究者の遺著。これは読みたい。