池内恵「現代アラブの社会思想 終末論と社会思想」(講談社現代新書 asin:4061495887)

読了。
2001年9月11日の「同時多発テロ」の直後にかかれた(刊行は2002年1月20日)本。ちなみに、著書は池内紀の子息。


67年の「第三次中東戦争」でのアラブ側の完敗後、アラブ社会の社会思想が、徐々に閉塞状況へ追い込まれていく様が描かれている。
当初は、「文化大革命」「ベトナム戦争」「世界的な学生反乱」に呼応した、マルクス主義的な世界革命論が説かれる。
だが、マルクス主義の悲惨な実態が暴かれた後には、現在の「イスラム原理主義」につながる「イスラーム主義」が台頭していく。(フランスの元共産党知識人で、イスラムに改宗して、イスラム国家で「大歓迎」を受けている人もいるという)
そして、近年は、オカルテイズムや陰謀史観も入り混じった、終末論的思想が、非常な「現実感」を持って受け止められているそうだ。(イスラム国家には「と学会」はいられない。みんな、マジなんだもの)