DVD「ベルヴィル・ランデブー」(asin:B0009ETCD8)

ツタヤの郵送レンタルで。フランスのアニメーション作品。これは完璧な作品!!
監督のシルヴァン・ショメは、これ以前に短編アニメを1本撮っただけで、この作品が初めての長編アニメーションだという。そうだとは、まったく信じられない、この完成度の高さ。


時代はジャズ・エイズの30年代ぽく、また、宮崎駿的「ステーム・パンク」をも思わせる、架空の時代。
オープニングは、ニューヨークのような、摩天楼が立ち並ぶ大都会ベルヴィルで始まる。
そこには、歌や踊りを見せる劇場があり、3つ子の老婆がコーラスで、テンポよいジャズを歌う。また、アステアやジョゼフィン・ベーカーも登場して、それぞれの芸を見せる。
私は気がつかなかったが、特典映像の監督との対談で高畑勲が指摘するには、ピアノを弾いているのは、グレン・グールドだったという。
この部分はサイレントで、まるでフライシャー兄弟の映画を見ているようだ。軽快な音楽と、グニャグニャしたキャラの動きが、とにかく素晴らしい。


しかし、シーンはかわってカラーになり、本編のストーリーとなる。
舞台はフランスの田舎町。両親を亡くした少年と祖母と犬とが暮らす家。少年は自転車に熱中し、青年に成長して、ついにはツール・ド・フランスに出場するが、ギャングに誘拐され、海を越えてベルヴィルへ連れ去られる。
祖母と犬は後を追ってベルヴィルにつき、3つ子の老婆と出会う。そして、4人と1匹とで、青年を奪回する。


映画内の人物も建物も乗り物も、すべてが、強烈にユニークな形にデフォルメされていて、その形を見ているだけで飽きない。
そして、エンディングのアクション・シーンは宮崎駿もはだしで逃げ出すほどの、「ありえな〜い。でも痛快!」な奇想天外なもの(老婆4人とショボイ老犬が、大量のギャングたちに勝つ!)。


明らかに宮崎駿の影響はあると思う。それは高畑との対談で、監督本人も認めていた。
だが、その影響に加えて、フランス・アニメの伝統の、ナンセンスなグロテスクな、アート・アニメーション的なものをミックスした。それがこの映画だ。
また、セリフははとんどなく、登場人物の動きや、背景等で、すべてを説明しているのも、ファンタステック。