矢吹晋「中国の政治・経済の虚実 激辛書評で知る」(日経BP社 asin:4822245837)

図書館本、読んでいる途中で、期限がきて未読了。「書評」の域を超えた、現代中国論。


何より巻頭におかれた、日本国内でも各書評で大絶賛されて、ベストセラーともなった、<毛沢東神話破壊の書>「マオ 誰も知らなかった毛沢東」へのすさましい批判。その部分だけで十分面白かった。


矢吹によると、この本を執筆した夫妻は、妻(中国人)は紅毛兵世代で、学問的訓練をまったくうけておらず、夫(アメリカ人の東欧研究者)は、新左翼崩れ。
二人とも、それぞれの理由から「毛沢東への非常な憎しみ」を持っていることから、このような「従来の毛沢東研究の基本をまったく無視した、扇動的なフィクション」を書いたとし、この本の怪しい点を大量に、指摘している。


なお、訳者及び監修者へも矢吹の批判の筆は及び・・。
訳者については「中国語の発音についての、複数の表記表があることすら知らないため、著者の名前すら間違えて誤訳している」と。
監修者については、「今までの監修者自身の著書とまったく矛盾する内容なのであるから、こういう本を監修するなら自己批判が必要なはずだ」と述べている。


そして、「中国を変えた男 江沢民」という本を論ずる箇所では。
依然として独裁政治を続ける江沢民に、出自が「非革命的階級」「非労働者階級」であることのコンプレックスがあることから・・。現在の異常な「半日教育」が生まれているのでは? と推測する。