映画「トキワ荘の青春」 寺田ヒロオのトキワ荘 

MX-TVでやっていたので、見た。市川準監督の、「まんが道」で伝説化されたトキワ荘のリーダー、「テラさん」こと寺田ヒロオを主人公にしたトキワ荘物語。何回見ても、いいね、この映画。キャストも今からみると、すごく豪華。
売れっ子の石森章太郎が、全然、芽が出ずにアシスタントばかり頼む赤塚不二夫を「赤塚〜!」と呼ぶシーンは、ちょっと変だったけれど。(いくら自分が売れっ子だったって、3歳も年上の赤塚を呼び捨てにするはずがない。トキワ荘の面々は、手塚治虫がいくら後輩でも「○○氏」と呼ぶのに影響されて、お互いにみんな、「○○氏」って呼んでたんだから。ちなみに、寺田のみが例外で、「テラさん」と呼ばれていた)


ちなみに、実質的な「原作」は、クレジットの原案トップにもあった、梶井純トキワ荘の時代―寺田ヒロオまんが道」 (筑摩書房 ISBN:4480051929)だろう。


[寺田ヒロオトキワ荘非在住者の貸本系漫画家・棚下照生と、一番仲が良かったとか、つげ義春トキワ荘に遊びに来ていたとかのエピソードが出てくる。
おそらく、この本の中の「寺田の孤独さ」を読んで、市川準が「この人を主人公にして映画撮りたい」と思ったんじゃないかなあ。
本の発売1993年、映画の製作1996年。


逆に、この原作の、『時代に取り残されていった漫画家・寺田ヒロオ』をいうのが頭に入っていないと、「トキワ荘の青春」が、どうしてこんなに、暗いトーンで描かれているのか、観客が置いてきぼりにされてしまう、映画かも。


そして、検索してみると、「ニコニコ動画」に、テラさんを追ったドキュメンタリー「20世紀のファイルから 『マンガがすべてだった・「トキワ荘」の頃』」というのがあったので、つい、見てしまう。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm675101


上記本の著者、梶井純がメインの語り手。
テラさんの死去2年前に、トキワ荘のマンガ家たちが寺田家を訪れ、「テラさんを励ます会」という飲み会をやった、なんて映像もあった。
漫画界の第一線を引いた後は、トキワ荘の仲間たちともほとんどあわなかった寺田だが、娘さんによると、「ああいう売れっ子になった人たちも、今でも『テラさん、テラさんと自分を慕ってくれる』を嬉しそうにいってました」という。ちょっと、救われた。


あと、「貸本マンガ史研究会」の人たち登場なんて、レアな映像もあった。「子供の頃によんだ、寺田マンガの印象」をしゃべっていた人が「三宅さん」と呼ばれていたから、あれが三宅秀典三宅政吉かのどちらかか・・。