水野葉舟著(横山茂雄編)「遠野物語の周辺」(国書刊行会 ISBN:4336042586)

図書館本、読了。


歌人自然主義文学者で、晩年はトルストイ的な農本主義者となった水野葉舟は、柳田國男佐々木喜善を紹介した人物であり、また、柳田以前に佐々木が語る「遠野の昔話」を活字にした人物。
横山による60ページもの解題「怪談の位相」では、その事情が説明されている。
水野も佐々木も「民俗学」に興味があったわけではなく、彼等は「怪談好き」の若者であった。そして、当時はイギリスを中心とした心霊主義スピリチャリズムの勃興期であり、柳田や他の文学者を含めた「日本での怪談ブーム」はその欧米の「最新思潮」の影響があったという。
本書には、水野が収集した(佐々木のもの以外も含む)怪談と、水野の心霊論が収録されている。