映画「精神」 これは素晴らしく「心がワサワサする」映画だった

雨が降りそうな天気の中、渋谷のイメージ・フォーラムまで妻と出かけて見てきた。
想田和弘監督が「観察映画」と自称する、ドキュメンタリー映画第2弾で、岡山の「こらーる岡山」という自律支援型の精神病院&精神障害者向けスペースを舞台にしている。


精神障害者を登場させるドキュメンタリー」を撮るとなると、普通の監督であれば数人に対象をしぼってその人に密着し、その行動や精神状態に寄り添った構成にすると思うのだが。
想田監督はその手段を取っておらず、次から次へ、2時間15分の上映時間の間に、約20人弱の精神障害者が登場して、それぞれの悩みを語っていく・・。


妻が障害者で日々その悩みを聞いているし。また、病気関連の本を読んだり、映像を見ているので免疫があるつもりだったが。
しかし、この映画の生々しすぎる映像は・・。
自分の心でその人の悩みを消化する暇もなく、次から次へと登場する「深い悩みを持った人々」に、心がワサワサして不安になってきた。
途中から、自分がウツ的状態になった際の癖である、「歯をガチガチ鳴らす」癖が出てしまい、とまらなくなった。


監督のアシスタントして撮影に立ち会った監督の奥さんは、途中で自身も心の病になって、この映画に登場する医師に診察を受けたそうだが。そうなるのも無理はないと思った。


映画が終わり、他の観客と一緒に外に出る間も、映画を観て感じた「心のワサワサ感」は止まなかった。
そのまま帰る気分がせず、妻と一緒にファミレスに入り、夕食食べながら、クール・ダウンする。これは凄い映画だった。


帰りは土砂降りの雨。