山本和夫「漫画家 この素晴らしき人たち」(サイマル出版会 ISBN:4377411055)

図書館本、眠れない間に読了。(AMAZONは未登録。まったく・・・。97年発行の本なのに。)
週刊漫画サンデー」の名編集長の回顧録。この本、以前買って持っていたんだけれど、未読のまま古本屋に売ってしまった。


20代での若手編集者時代の、若き小島功との交友から話は始まる。そして、スキー雑誌編集者を経て、「週刊漫画サンデー」編集長となり、杉浦日向子百日紅」、近藤ようこ「見晴らしヶ丘にて」、畑中純「まんだら屋の良太」といった、作家性の強い名作群を連載させるまでの、幅広い世代の漫画家との付き合いを描いている。
特に「まんだら屋の良太」は、編集者がボツにしかけていた原稿を、編集長たる著者が「これはいい」と目をとめ、題名まで自分で決めて、新連載させたという。


以下、登場漫画家およびメモ。

  • 小島功
  • 手塚治虫
    • 手塚のおそるべき記憶力。アシスタントに、「書庫のこれこれの本の○○頁に、こういう記事があるから持ってくるように」と指示ができたらしい。読んだ本をすべて覚えていた!
    • 「一輝まんだら」の末期は、原稿がギリギリの状態で、出来上がった原稿1枚ずつ印刷所に送り、セリフは電話で伝えていた。ついに、印刷所の人まで手塚部屋に詰めることになった。最終的に原稿が「落ちて」連載は中断した。(「一輝まんだら」が未完なのは、そのせい)
  • 馬場のぼる
  • 杉浦幸雄
    • 晩年作「面影の人」は、杉浦のほうから「70すぎた爺さんにも連載やらせてくれ」と売り込みがあった。
  • やなせたかし
  • 谷岡ヤスジ
  • 久里洋二
  • わたせせいぞう
    • わたせせいぞうは本名は「渡瀬政造」である。デビュー当初は、「わたせせいぞー」というペンネームを使っていた。(今のに変えてよかったね)
  • 種村国夫
  • 杉浦日向子
  • 近藤ようこ
  • 水野良太郎
    • 師匠格は「松下井知夫」で、この人は今は忘れられているが、現代ストーリー漫画の手法・方法論を確立した草分けの一人で、手塚治虫の媒酌人もつとめた。
    • 水野良太郎の長男は「アトム」という名前。
  • 上村一夫
  • 矢野功
  • 鮎沢まこと
    • 週刊碁]に長年に渡って「ウロ烏鷺戯評」という連載を持っている。
  • 西澤勇司
  • 矢野徳
  • 境田昭造
    • 拳銃不法所持で漫画界を干され、晩年は身寄りもなく、亡くなった後は葬式もなかった。
  • 山下紀一郎
    • 給仕(漫画集団の見習い時代)、広告会社制作室、旋盤工、兵隊、大工手伝い、羽子板・団扇製作と多様な職業を経て、漫画家となる。
  • 関根義人