ビデオ「NHK特集 わが青春の「トキワ荘」 現代マンガ家立志伝」(asin:B00005IK3X)

昨日、図書館で借りたビデオ。「トキワ荘」の解体が決まった、81年制作のNHK特集。

  
題名は「わが青春の「トキワ荘」」だが、単なる「トキワ荘」ノスタルジー番組ではなかった。
トキワ荘に、かつて住んでいた漫画家たちが集まり、一室で「キャベツ鍋」を作って思い出話に興じる、というシーンもあった。でも、それは全体の一部。


その集まりに、誘われても参加を断った、寺田ヒロオの自宅を訪れてのインタビューもあった。寺田が自主出版した「漫画少年史」も紹介されていた。
ちなみに、元アマチュア野球選手の寺田が、バットを持って素振りするシーンがあったが、これは市川準の映画「トキワ荘の青春」で、本木雅弘がコピーしていたなあ。


あと、藤子不二雄撮影の8ミリ映画で、みんなで相撲を取った映像が、トキワ荘の壁に映写されるシーンもあった。これも、「トキワ荘の青春」で引用されていた。


それ以外に、番組制作当時の「漫画家志望の若者」たちの風景として、マンガ専門学校の生徒たちがトキワ荘を見学したり、コミケでコスプレした若者たちが同人誌を売るシーンを写したり、「マンガ家スカウトのための宣伝映画」を流したりする。
あと、「宇土まんぶ」という80年度の赤塚賞の受賞作家の、インスタント・ラーメンばかり食べながらマンガを書く生活も紹介されている。彼は、目が出なかったのかなあ(・・と思ったら、はてなキーワードがあったので、驚いた。それなりに活躍した人だったみたいだ)。
81年の手塚賞受賞の「荒木利之」という人を、手塚先生が「君のマンガはすごくいい」と褒めるシーンもあるが、この人は「ジョジョ」の荒木飛呂彦だ。


そして、実際、この番組の主役級に扱われていたのは、元「トキワ荘」の住人で、既に漫画家をやめていた森安なおやで、職安に通ったり、ソープのあるビルで角材を運ぶ仕事をするシーンが写される。
そして、11年かきためたという長編を集英社のジャンプ編集部に持ち込むのだが・・。見ていた編集者は「うーん、絵は古いですが、構図が新鮮なものありますねえ」と、一応、褒めていた。この編集者の人も、何だか顔が見覚えあるのだが、「トイレット博士」のスナミ先生こと、角南攻さんじゃないかなあ。
だが、結局、その後、その作品が日の目を見ることはなく、森安は99年に亡くなったのだが・・。


それから、「先生」たちの面白いシーン

  • 藤子不二雄が机に二人並んで座って、仕事をしているようなシーンがあった、実際は、このころはそれぞれのアシスタントを抱えて、別々に仕事をして筈なので、まあ、「サービス・カット」だろう。
  • 赤塚不二夫の名物・飼い猫、黒白の「菊千代」が登場。仰向けに寝て、万歳をするシーンがあった。あと、赤塚先生の編集者との相談風景で、横には長谷邦夫先生が写っているのだが、名前もクレジットしてもらえず「ブレーン」と表記されるのみ。ちょっとヒドイ扱いだね。
  • 石森章太郎の仕事場の屋上には、ピラミッド状の形状の「瞑想室」があった。ピラミッド・パワーを信じていたのだねえ、石森先生は。