「車掌」の企画 「すいている道(1km)を歩く」

「車掌」からの指示は以下のとおり。

伊藤岳人という名前で
すいている道(1km)を歩き
すれ違った(追抜き/抜かれも含む)人・車の数を数え
伊藤岳人」名で車掌編集部に報告してください。


川崎周辺で一番すいている道となると、川崎港側の埋立地だ。それも、1月1日ならガラガラだろう、ということで、本日、決行。


11時に妻と出発。それぞれ「伊藤岳人」と書かれたゼッケンをつけて。
 
タクシーに乗り、行き先の「東扇島公園」を指定するが、運転手がその公園を知らない。地図を見ながら、説明する。


なんとか、海に面した「東扇島公園」に到着。曇り空だが、風がないので、想像していたほど寒くはない。
さすがに元旦ということで、駐車場も閑散。公園内を見てみても、ほとんど人がいない。


この公園の駐車場をスタートとして、海に平行した脇道が(片側1車線・普通サイズの歩道つき)ちょうど1kmなので、この脇道をずっと歩くことにする。11時半、歩行開始。
私のデジカメがイマイチ、信用できないので、普通のフィルムカメラで写真を撮る。なので、このあたりの画像はアップできない。
と、いきなり車が2台、すれ違う。公園に釣りに来た車らしい。幸先が悪い。


道の右側は「アライオートオークション・ベイサイド駐車場」ということになっていて、車が大量に駐車されているが人間は誰もいない。(帰宅してネットで調べたら、中古車のネットオークション業者だった。http://www.araiaa.jp/
左側は、謎の塀で、かなり遠くに東京電力発電所の煙突が煙を吐いているのが見える。


少し歩くと、駐車してある車から、釣り人が2人降りてくる。人間もこれで2人だ。なんで、こんな道路に駐車するんだろう。公園の駐車場はガラガラなのに。
羽田空港から出発した飛行機の音がさかんに聞こえるが、曇り空なのでほとんど見えない。


しばらく歩くと、廃棄されてガラスが割られ、落書きが前面にしてある軽トラが。そしてよく振り返ってみると、今まで歩いてきて「駐車してある」と思っていた車は、ほとんどバンパーがない、無断破棄車両なのであった。


1/3くらい、300mくらい歩いた所で、謎の「廃棄バス」を左側にみつける。ボロボロなのだが、南京鍵が締めてあり、社内を覗くと、テーブルが何台もならんでいて、各テーブルにはテッシュと灰皿と爪楊枝が並んでいる。そして、車の最前列には猫のエサの袋が。
茶店にしては、炊事道具がないし、このあたりで働いている人の「私的休憩場所」か?


400mくらい歩いたところで、今度は左側が「アライオートオークション・ベイサイド駐車場」、右側が川崎市港港湾局になった。右側はコンテナだらけだが、川崎港もさすがに元旦は休みのようで、何の動きもない。


道の左側に、中がゴミだらけの破棄車両を発見。ゴミと車とまとめて捨てたのだろう。不精極まる人だ。


600mくらいの地点で、左側は「三井埠頭(株)東向島保税蔵所」になった。立派な門松が門の左右に飾ってあり、パトロール・カーが駐車してある。パトロールカーの後部には、動物用の檻が。捨て犬対策か、それとも、不法入国の動物対策か?
右側は、相変わらず、コンテナ群。


2003年3月24日の「日刊スポーツ」が捨ててある。1面は「味方にやられた米軍大爆発」という見出しで、まだイラク戦争中の記事だ。
ここで、カメラのフィルムが切れてしまい、予備に用意していたデジカメに切り替える。雨がポツリと落ちてきた。本降りにならなければいいが。このあたりは、雨宿りする場所など全然ない。


「大日警」のパトロールカーが前から来て、右側の川崎港のターミナルに入った。これで車3台。
ターミナルの建物の写真を撮っていると、警備のおじさんがやってきて、異常に不審げな声音で、「オタクら何してるの。そのゼッケン何?」と聞かれる。
ここで、企画本来では「伊藤岳人」としてふるわう必要があるのだが、どうしていいかわからないので、正直に「雑誌の企画で、こういう格好して、すいている道を歩いて取材してるんです」と正直に話してしまう。それでも、警備員は怪しげな表情だ。これで、人間3人。
 


また歩き始めると、「大日警」のパトロールカーが追い抜いていく。これは同じ車なので、カウントしないことにする。


このままでは「伊藤岳人」としてのふるまいがゼッケンだけなので、さらに「伊藤岳人」度をあげるために、「伊藤岳人」名で「車掌」編集部に電報を打つことにする。
携帯電話で115にかけて「おめでとうございます。現在すいている道を歩いています。神奈川県川崎市伊藤岳人」という電報を依頼する。電報、花カード付」のものにしたので、1180円。
電報の「待ち時間」に流れる音楽が「マイ・ウェイ」で、なかなか格好いい演奏だった。これはクレイジーケン・バンド版かな?
私が電報打っている間に、また同じパトロールカーがまわって来て、妻に「何してるの?」と質問。妻も「雑誌の取材で、すいている道を歩いているんです」と馬鹿正直に答える。同じ車だし、車に乗ったままなので、車も人もカウントせず。


歩いていると暖かいが、電報打っている間、止まっていると寒くなってきた。もう少しなので、頑張って、再度歩き始める。妻が「何か、食べ物のいい香りがする」と。私は全然におわないが、食堂か何かがあるのだろうか。


左側の「観音崎ラドンセンター」という破棄バスを見て、12時30分、出発から1時間かけて、1kmの脇道の歩行終了。

突き当たりに自動販売機があったので、暖かい飲み物を飲む。

この道を歩いて、すれ違ったのは都合、人間3人、車3台だった。


企画はこれで終了だが、終了地点にまた、怪しい「破棄バス」が。ペンキで大きく「LUNCH 300YEN」と書かれていて、他に「INDIAN RESTAURANT MOHANONDO」という張り紙も。
車内を見ると、テーブルがきちんとそろっていて、ガスレンジもある。
私は「これは営業している店だよ」と主張するが、妻は「そんなことない、昔は営業してたかもしれないけど、今はやってないんじゃないの」と意見が対立。
  


とりあえず、タクシーを呼べる目印がある場所まで行こうと、10分ほど歩くと、雨がひどくなってくる。「東向島物流センター」というバス停があったので、携帯電話でタクシーを呼ぶ。
雨がひどいので近くのnamcoのビルで雨宿り。20分ほどして、タクシーが来た。


かなり疲れたので、このまま帰宅して「おせち」という気分でもない。タクシー、自宅近所のラーメンのチェーン店に止めてもらって、ラーメン食べる。


食べたら元気でたので、ついでに、コンビニ裏にある八幡様に「初詣」。破魔矢を買ったら、町内会の人がお神酒をふるまってくれた。


帰宅すると、妻の自転車の前のカゴが壊されている。いつヤラレタんだろう。さすが川崎だ。