図書館本、読了。
南Q太のWIKI(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97Q%E5%A4%AA)から・・。
二度の離婚歴があり(最初の夫は漫画家のSABE・二人目の夫は歌人の枡野浩一・三人目の夫は漫画家・安彦麻理絵の元夫で編集者の大塚正美)、二児の母親である。また再婚により、大塚と安彦との間に設けた子の親ともなった。
この、枡野と南の離婚時期の1年を、枡野側から描いた12編の短編小説集であり、またそれぞれが「書評」となっていて、対象の本は、枡野の現在の状況に「身につまされる」モノをセレクトしている。
とりあげられている本は・・。
- 坂崎千春「片想いさん 恋と本とごはんのABC」(WAVE出版 )
- 松尾スズキ「同姓同名小説」(ロッキング・オン )
- 島本理生「リトル・バイ・リトル」(講談社 )
- 大堀昭二「慰謝料法廷 男と女のトラブルファイル」(文春新書 )
- いしかわじゅん「鉄槌!」(角川文庫 )
- 「写真集 チルドレンズ」(リトルモア )
- 中原昌也「エーガ界に捧ぐ」(扶桑社 )
- 銀色夏生「つれづれノート12 引っ越しと犬」(角川文庫 )
- 松久淳「ヤング晩年」(小学館)
- 内田春菊「もっと悪女な奥さん」(メディアファクトリー )
- 佐藤和歌子「間取りの手帖」(リトルモア )
- 岡本敬三「根府川へ」(筑摩書房 )
中でも、枡野が感情移入してしまうのは、銀色夏生の本と、内田春菊の本であり、どちらも、仕事も子供も「女であること」も、すべて諦めない女性に、嫌われてしまった夫の悲劇なのだ。
(枡野は、内田春菊の2番目の夫である、大久保マネージャーに同情している)
この小説の内容が真実とすれば、枡野は「生理的に嫌われた」こと以外に、何の落ち度もない。
そのまま、「ドメステック・バイオレンス夫」と嘘の証言により訴訟される。それはさすがに南側が、断念し、「南側が200万払い、月に一度、実子には会わせる」との調停が成立する。
だが、南は、枡野と子供とを面会させる約束を果たさず、子供の幼稚園を変えてまで、彼が子供に会うことを阻止する。
2歳の時以来会っていない息子は、この本の執筆現在で5歳になっているという。彼には、枡野の記憶はほとんどないだろう。
南Q太も、非常にエキセントリックな女性であろう。
だが、そもそも、「こういう粘着質な小説を書いてしまう性格」が、男性的なキャラである南に嫌われたのでは、とも感じてしまうのである。